『曽我兄弟より熱を込めて』感想・レビュー・あらすじ。気持ちを強く持つ方法

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当記事は、坂口螢火著『曽我兄弟より熱を込めて』の書評です。

今回は、歴史上の人物から学びましょう。

強い思いは、時として人の心を動かす。ということを実感させてくれるストーリーです。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『曽我兄弟より熱を込めて』とは?

曽我兄弟より熱を込めて』は、2023年1月26日に幻冬舎より出版された坂口螢火による歴史小説。

日本三代仇討ちのひとつとしても有名な曽我兄弟の仇討ちを、史実に基づき現代語訳で綴ったストーリー。

『曽我兄弟より熱を込めて』あらすじ

『曽我兄弟より熱を込めて』あらすじ

幼くして理不尽に父を失った曽我兄弟。

仇討ちが禁じられた鎌倉殿の時代、どんなに世間から虐げられても、その志を砕くことはなかった。

はたして彼らの運命は如何に——。

一心同体の兄弟愛、揺るぎない信念の美しさ。
歌舞伎や講談の題材として800年にわたり愛された若武者たちの実像。

『曽我兄弟より熱を込めて』坂口螢火著 幻冬舎出版 (2023/1/26)より引用

曽我兄弟は、平安時代末期から鎌倉時代にかけてを生きた武士です。

元々は伊豆半島の半分を治めるほどの力をもった伊東家の生まれである2人。

しかし、源頼朝の寵臣・工藤祐経に父親を殺されたことから、人生が一変します。

父親を殺された被害者であるはずの曽我兄弟に待っていたのは、復讐の恐れがあるとされ、理不尽に冷遇される日々。

幼心に仇討ちを決意した兄弟の壮絶な物語——。

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『曽我兄弟より熱を込めて』感想・レビュー

『曽我兄弟より熱を込めて』あらすじ

ストーリーは彼らの父が殺されてしまうところから時系列で進むので、彼らの人となりを知れば知るほど、最後の仇討ちのシーンは胸に迫るものがありました。

本懐を遂げた兄弟はきっと晴れやかな気持ちだったのでしょうが、大変優秀であった2人ですから、もっと日の当たる場所で正当な方法で、彼らの才能が活かされて欲しかった……。

読了後に感じる痛快さとは裏腹に、切なさと悔しさも感じずにはいられない物語でした。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 兄弟愛の強さ

“仇討ち”現代ではあまりなじみのある言葉ではありませんが、かつてはあちこちで行われていたようです。

にも関わらず、彼らはなぜ『日本三代仇討ち』としてここまで有名になったのでしょうか。

著者の坂口螢火さんも作中で触れられていますが、この兄弟のお互いを思う気持ちの強さは並々ならぬものではありません。

この兄弟愛が人々の心に響いて、語り継がれてきたのではないでしょうか。

幼少期から実に理不尽な思いをしてきた2人ですが、恵まれない環境をただ嘆くのではなく、励まし合い、離れていてもお互いを思い合う関係性にはグッとくるものがありました。

そして、そんな2人の様子に胸を打たれ、影に日向に彼らを助けてくれた人物たちも実は少なからずいるのです。

もちろん、復讐なんて決して良いことではありませんが、強い意志というのは時に人の心をも動かすものです。

勇気が出ない、一歩踏み出せない時には本書を手に取ってみてください。彼らがヒントをくれるかもしれません。

POINT2. 人生から紐解くと歴史はおもしろい

私は学生時代、歴史の授業が苦手でした。有名な出来事と人物にマーカーを引いて、暗記する。これでは今ひとつピンとこなかったのが原因かもしれません。

そんな私が歴史小説を大好きになった理由は、人の人生が描かれているから。

本書も同様、教科書では描ききれない、その時代を生きた人間たちの一生が描かれ、喜んだり悲しんだりしている姿に感情移入することができるのです。

どんな経緯があって起きた事件なのか、そこにはどんなやりとりがあったのか。細かい描写があることで、途端に親近感が湧いてきます。

その分、理不尽な彼らの境遇にはとても胸が痛みましたが、そこには確かに意志を持った「人間」がいたんだと感じさせてくれました。

歴史に苦手意識がある方にこそおすすめしたい1冊です。

POINT3. 自分とは違う価値観に触れる

歴史小説って、言葉遣いが現代と違って読みにくい。文化や価値観が違いすぎて理解できない。

このあたりが、とっつきにくい原因ではないでしょうか。

本書は、その当時の雰囲気が感じられる言葉遣いではあるものの、私たち現代人が読んでも理解できる言葉遣いとなっています。

さらに、ストーリーの合間には彼らが生きた時代の住居事情や食べ物、兄弟の逸話なんかも収録されているので、登場人物たちの価値観、考え方がイメージしやすいのも嬉しいポイント。

ですので、普段は現代小説をメインで楽しんでいる方にもおすすめです。違った概念、価値観に触れることで新たな気づきが得られるかもしれませんよ。

『曽我兄弟より熱を込めて』の著者について

『曽我兄弟より熱を込めて』の著書である坂口螢火さんは、小学校教員という経歴の持ち主。

児童及び教員の歴史離れの深刻さを目の当たりにして、歴史物の執筆活動を始められたというだけあり、教科書よりも踏み込んだエピソードに深い知識が窺える。

他の著書に『忠臣蔵より熱を込めて』がある。

『曽我兄弟より熱を込めて』感想・まとめ

今回は、強い意志と兄弟愛が成し遂げた“仇討ち物語”をご紹介しました。

強い意志を持ち続けることは簡単なことではありません。

悩んでいる時、一歩踏み出せない時に本書を手に取ってみてください。

彼らの強烈な志に、パワーをもらえるはずです。

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