『さきちゃんたちの夜』感想・レビュー・あらすじ|一息つきたい時に

『さきちゃんたちの夜』感想・レビュー・あらすじ|心がささくれだった時に
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当記事は吉本ばなな著『さきちゃんたちの夜』の書評です。

今回ご紹介するのは、ひと息つきたい時にぴったりな小説。

タイトルの通り「さきちゃん」が登場する短編集なのですが、面白いのが5つのストーリーすべてにそれぞれ違う「さきちゃん」が登場すること。

年齢も境遇も、それぞれ違う「さきちゃんたち」。どのさきちゃんも自分の軸や考えを持って生きていて、ハッとさせられます。

さまざまな「さきちゃん」が、きっとあなたの背中を押してくれるでしょう。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『さきちゃんたちの夜』とは?

さきちゃんたちの夜』は、2003年新潮社より出版された吉本ばななの短編小説。

さまざまな境遇の人物を描き分けた、一息つきたい時に読みたい短編集。

『さきちゃんたちの夜』あらすじ

『さきちゃんたちの夜』あらすじ

音信不通になった友人を、彼の恋人と探す編集者の早紀。
生前母と絶縁していたおばの遺言を受け取った紗季。無料の豆スープを近所に配る祖父母のもとで育った咲。子どもが好きだけど産むことができない、乳児院で働く沙季。絵本作家の事務所で働く崎と、父親を失った小さな姪のさき。

それぞれの“さきちゃん”たちの日々を描いた5つのストーリー。
誰かが決めた立派な人生ではなく、自分自身の毎日をしっかりと歩む“さきちゃん”たちの、すがすがしい生き方に力づけられる短編集。

Amazonより引用

それぞれのさきちゃんたちが、自分の人生をしっかりと生きている姿に勇気がもらえる5つのストーリー。

でも、彼女たちは決して特別な人間ではありません。どこにでもいる、普通の女性です。みんなそれぞれの日々を、それぞれの方法で一生懸命、生きています。

忙しくて自分を見失いそうな時、一息つきたい時にさきちゃんたちを参考にしてみてはいかがでしょうか。

照明を落とした部屋で、キャンドルを炊いてひっそりと読むもよし、お風呂にゆっくり浸かりながら読むもよし。

1話20分程度で読める短編小説ですので、忙しい日々の合間にも読めちゃいます。

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『さきちゃんたちの夜』の感想・レビュー

『さきちゃんたちの夜』の感想・レビュー

とにかく、それぞれのさきちゃんたちが魅力的でした。

強い自己主張をするでもなく、かといって周りに流されるでもなく、きちんと自分の軸をもって生きている姿がかっこいい。

だけど彼女たちは決して初めから強かったわけではなく、悲しさや辛さを抱えたうえでの「今」があります。そんな姿に、嫌な経験も気持ちも、無駄じゃないんだな。いつか私もさきちゃんたちみたいに強くなれるかな、と勇気がもらえました。

1話20〜40ページの短編なのですが、そうとは思えないくらいそれぞれの「さきちゃん」のキャラクターの書き込みが細かく、感情移入がしやすいところもよかったです。

「このさきちゃんは自分に似てるな」とか、「どのさきちゃんに話を聞いてもらいたいかな」なんて想像したりしながら読むのが楽しいかも。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 主人公は全員「さきちゃん」

5つのストーリーには、職業も年齢もさまざまな「さきちゃん」が登場します。

幸せそうなさきちゃんも、決して恵まれているとは言えないさきちゃんも、皆一様に「状況を受け入れて前に進もう」と頑張っていました。

少しスピリチュアルな要素を含むストーリーが多いのですが、オカルト的な雰囲気ではなくほっこりするような描き方をされているのが印象的で。

現実には起こりえないことでも、最後にはさきちゃんたちが穏やかに前を向く姿に、なんだかほっこりしてしまいます。

ちなみに、作品名である『さきちゃんたちの夜』も1つのストーリーとして収録されています。

POINT2. どのさきちゃんも、ちょっぴりかなしい

一見、日々を淡々と生きているように見えるさきちゃんたちですが、実は過去にとても辛い体験をしていたりして、人の痛みを受け入れる強さみたいなものを感じました。

本書の特徴として、生活の細部には焦点を当てず人の気持ちの描写が多いのですが、さきちゃんを取り巻く人々のキャラクター設定はとてもリアルで、良い人も、ちょっとクセのある人も1度は出会ったことがあるような人物ばかり

そんな人たちとの関わり方や受け入れ方は、私たちの日常生活でも参考になるのではないでしょうか。

POINT3. 人の「明」と「暗」を描くのがうまい!

吉本ばななさんの小説は何冊か読んでいるのですが、人間のいい部分とダメな部分のどちらにもスポットをあてるのがうまい作家さんだなと感じます。

あえて両方描くからこそリアリティがありますし、否定するのではなく人にはいろいろな部分がある、完全な善人も悪人もいないという描き方に、まるで自分のダメな部分も受け入れられているような気がして、心が救われる思いでした。

『さきちゃんたちの夜』の著者について

さきちゃんたちの夜』の著者である吉本ばななさんは、日本の小説家。

「死」について考えさせられる作品が多く、その内容から国語の教科書に掲載されたことも。

海外の文学賞も受賞しており、国内にとどまらず海外からも高い評価を受けている。

『さきちゃんたちの夜』を読んだ感想・まとめ

今回は、いろいろあるけれど自分の軸を持って一生懸命生きている「さきちゃんたち」のストーリーをご紹介しました。

忙しくて自分を見失いそうな時、一息つきたい時にさきちゃんたちを参考にしてみてはいかがでしょうか。

読み終わった時に、少し気持ちが落ちついた…そんな風に思っていただければ幸いです。

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