『ごはんのことばかり100話とちょっと』を読んだ感想・レビュー・まとめ|美味しいお話。

ごはんのことばかり100話とちょっと

当記事は吉本ばなな著『ごはんのことばかり100話とちょっと』の書評です。

今回ご紹介するのは、食にまつわるエッセイ本

タイトルの通り100話とちょっと、食にまつわるお話が収録されているのですが、1話1話が短いので読みたい時に読みたいだけ、サクッと読めるのが嬉しいポイント。

読んでいるだけでエネルギーが湧いてくるエッセイ。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『ごはんのことばかり100話とちょっと』とは?

『ごはんのことばかり100話とちょっと』は、2009年に朝日新聞より出版された吉本ばななのエッセイ。

タイトルの通り、ごはんにまつわるエピソードや想いが100話とちょっと収録されています。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』あらすじ

『ごはんのことばかり100話とちょっと』あらすじ

日々の家庭料理がやっぱり美味しい。子どもが小さいころの食事、献立をめぐってのお姉さんとの話、亡き父の吉本隆明さんが作った独創的なお弁当、一家で通った伊豆の夫婦の心づくしの焼きそば……ぎょうざ、バナナケーキ、コロッケのレシピと文庫判書き下ろしエッセイ付き。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』よしもとばなな著 朝日文庫出版 (2013/6/30)より引用

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作家の吉本ばななさんが、日々の食事にまつわる記憶を綴ったエッセイ。近所のごはん屋さんのこと、旅先の思い出話、子育てを通して感じたエピソードなどが収録されています。

ただ食べたものを紹介するのではなく、その時の状況、雰囲気や一緒に食べた人との会話から感じたことをありのままに綴られているので、吉本さんの作品を読んだことがある方には彼女のライフスタイルや頭の中が垣間見えて嬉しいかも。

読んだことがない方も、本書の雰囲気が好きならきっと吉本さんの小説の世界観も好きだと思います。これをきっかけに小説を読んでみるのもいいかも。

休日の昼下がりのお供に、ぜひどうぞ。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』感想・レビュー

『ごはんのことばかり100話とちょっと』感想・レビュー

読めば読むほどお腹が空いてくる。そんな1冊です(笑)

ですが、私が本書を好きだなと思った1番の理由は「料理はこうあるべき」だとか「この料理は絶対こう作った方が良い」みたいな押しつけがましい感じが一切なかったこと。

お子さんがまだ小さい頃に執筆されているので、栄養バランスなんかも気になるところだったと思うのですが、無理せず、楽しく、美味しく食べるのが1番。そんな肩の力がぬけた吉本さんの考え方に頑張りすぎなくてもいいんだ。とホッとします。

そのような考えに至ったきっかけも作中で触れられていて、思わずハッとさせられました。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 「食」への想い

吉本さんはじつにさまざまな国の料理を召し上がっていて、ご自分でもいろいろ作られているので、はじめは相当グルメな方で、料理の仕方にもこだわりがあったりするのかな。という印象をうけました。

ですが読み進めていくと、「食」に対してとてもフラット、というか肩の力をぬいて対峙しています。この感覚は育ってきた環境にもよるようで、こんな一文がありました。

私の母はとても几帳面で完璧主義なので、撮影用か?と思うような美しいお弁当を毎日作ってもらった覚えがある。(中略)

しかしそれを作っている時の母はのめりこみすぎていてこわいくらい真剣で、話しかけても怒られるくらいの不機嫌さだったし、おかずの仕切りも今みたいにいろいろな便利グッズが売っていないから、いちいちボール紙を切ってそこにアルミホイルを巻いていたので、長さを測ったりしてとても大変そうだった。
まわりはうらやましがるし、確かにおいしいけれど「もっと適当でいいのに、お母さん」と子ども心にも思ったのを忘れられない。親が大変そうだと子どもはつらいのだ。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』よしもとばなな著 朝日文庫出版 (2013/6/30)より引用

ハッとさせられませんか?愛情あってこそのこだわりだったのでしょうけど、やはり食事って穏やかな気持ちでしたいですもんね。

この肩の力をぬく感じ、料理に限らず生活における指針にしたいですね。

POINT2. まるで、旅行気分

読んでいてびっくりしたのが、食べ物のバリエーションの豊かさ。

吉本さんはタイ料理、台湾料理、ベトナム料理なんかもお好きなようで、時にはご自分で、時にはお店に食べに行ったりと、国籍さまざまな料理が登場します。

それを食べた時の旅行先での思い出話なんかも収録されているので、ちょっとした旅行気分が味わえます。

旅先に持っていって、移動時間なんかに少しずつ読むのにもいいかも。

POINT3. 小説のような読後感

このエッセイは本当に読み応えがある。
すべてのエピソードに奥行きがあって、まるで小説を読んでいるような満足感。

何気ない日常の食事風景や、人との会話の中からそんなふうに感じることができるのかと、作者・吉本さんの感性、表現力に感動しました。

もうそろそろ一息つこうかな、このへんでやめておこうかな。そう思っているのに、次のエピソードの書き出しが目に入ってしまうと「え、なになに、もう1話だけ……」と、なかなかページを捲る手がとまりません。

もともと、吉本さんの小説の世界観が好きだったので、頭の中が垣間見えたような喜びもありました。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』の著者について

ごはんのことばかり100話とちょっと』の著者である吉本ばななさんは、日本の小説家。

「死」について考えさせられる作品が多く、その内容から国語の教科書に掲載されたことも。

海外の文学賞も受賞しており、国内にとどまらず海外からも高い評価を受けている。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』感想・まとめ

読みたい時にサクッと読めて、読み終わる頃には心を豊かにしてくれる。そんなエッセイ本です。

前後のつながりやトリックなんてない、だから頭をからっぽにして読める。それがエッセイの良いところ。

通勤バッグに忍ばせて電車の中で、寝る前のほんのひと時に、旅行のおともにぜひどうぞ。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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