『バスを待って』感想・レビュー・あらすじ|なんだかうまくいかない時に……

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当記事は石田千著『バスを待って』の書評です。

今回ご紹介する小説は、辛い時にひと息ついて自分を見つめなおすきっかけをくれる短編集です。

登場人物たちも悲しみを抱える者や、あまり上手くいっていない者ばかり。1話15〜20ページ足らずですので、気持ちに余裕がない時でも寝る前の5分で読めます

バスに乗って物思いにふける主人公に共感し、読み終わる頃には少し気持ちが落ちついていることでしょう。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『バスを待って』あらすじ

『バスを待って』あらすじ

いちばん前の席があいた。となりのおじいさんは、いそいで移動して、椅子によじのぼった。男のひとは、いつまでもあの席が好きでおかしい。

路線バスには、ほかの乗り物にはない、ゆっくりとした時間が流れている。自分もバスに乗って、車窓からの風景を眺めながら、自分の人生に思いを巡らせてみたくなる20篇。

Amazonより引用

バスにまつわる20話のストーリーが収録された短編集。通学に利用している学生さんからお買い物にいくおばあちゃんまで、老若男女のさまざまな人間模様が描かれています。

ストーリーに繋がりはないので、どこから読んでもOKです。初めから順番に読んでいくもよし。タイトルに惹かれたものから読むもよし。

読み終わる頃に、次の休日はバスでお出かけもいいな……なんて思えていたら最高です。ぜひ手にとってみてください。

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『バスを待って』の感想・レビュー

『バスを待って』の感想・レビュー

普段はバスに乗らない私ですが、気持ちを切り替えるためにバスに乗ってみる。そんな時間の使い方も素敵だな、と思えた作品でした。

寂しさや不安を抱えていた主人公が、バスを降りる頃には自分を取り戻していく。そんなストーリー展開に、こちらの気持ちも浄化されていきます。

仕事が立て込んでくたくたに疲れている時ほど、つい家でダラダラしてしまうもの。気持ちに余裕がない時ほど、普段とは違う体験を通して気がつくこともあるかもしれません。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 美しい季節の描写に癒される

どのストーリーにも必ず出てくる季節の描写。

私はイチョウの葉に雌雄があることも、「木の芽どき」なんていう言葉も、この作品を読むまで知りませんでした。どちらも主人公の心理描写に使われていて、作者の石田千さんの表現力にセンスを感じます。

忙しい毎日のなかで、季節を楽しむ時間なんてなかなか持てない。そんな時でもページをめくると、ストーリーのなかには美しい季節が広がっています。

主人公になった気持ちで、バスの窓に映る街並みや景色を感じてみましょう

POINT2. 思わず引きこまれる、「最初の1行」に注目!

小説の「最初の1行」ってとても重要ですよね。私は本を購入する際、この最初の1行に引き込まれるかどうかで購入を決めています。

本書は短編集ということもありますが、最初の1行がとても秀逸です。寝る前に1話だけ。という気持ちで読みはじめたのに、次のストーリーの1行目が目に入ってしまい、ページを捲る手がとまらない……なんてことが何度もありました。

ほんの短い書き出しに凝縮されている、主人公の人生模様にも注目です。

POINT3. なぜ「バス」にしたのか。気になる理由は?

飛行機、車、新幹線……他にも様々な乗り物があるなかで、なぜあえてバスにしたのか?

作者の石田千さんは、その理由もちゃんとあとがきに描かれています。しかもなんと、この小説の原稿もバスに乗りながら執筆されたそうです。だからあんなに季節の描写が活き活きとしていて、人々の様子にもリアリティがあったんだな。と、このあとがきを読んで納得しました。

ちなみに、1話だけ実際にあったことを描かれているそうで、あとがきで公表されています。どのお話なのか、予想しながら読むのも面白いかもしれません。

『バスを待って』を読んだ感想・まとめ

次の休日は久々にバスに乗ってお出かけでもしてみようかな……そんな気持ちにさせてくれる素敵な作品です。

主人公たちのように、バスにゆられながらゆっくり自分を見つめなおす。上手くいかない時には、たまにはそんな時間の使い方もいいのかもしれません。

ぜひ、手にとってみてください。

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