『冷静と情熱のあいだ Rosso』感想・レビュー・あらすじ|孤独を味わう恋愛小説

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当記事は江國香織著『冷静と情熱のあいだ Rosso』の書評です。

今回は、孤独を味わいたい時にぴったりな作品をご紹介したいと思います。

あまり良いイメージのある言葉ではありませんが、誰にでも1人になりたい時はありますよね。

主人公は、別れてしまった過去の恋人を想いながらミラノで暮らす日本人女性。
恋愛小説としては起伏が少ないので、静謐な物語の雰囲気に引きこまれていきます。

休日前の夜にベッドでひとりきり、思う存分孤独を味わってください。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『冷静と情熱のあいだ Rosso』とは?

1999年に出版された江國香織辻仁成による恋愛小説。

もともとは、月刊誌に2人が交互にストーリーを掲載する形で書き上げられていった。

その後、単行本化するにあたり女性目線、男性目線それぞれのパートに分けられ、女性目線の江國パートが「Rosso」男性目線の辻パートが「Blu」とされている。

50万部を超えるベストセラーとなり、映画化もされている名作。

『冷静と情熱のあいだ Rosso』あらすじ

『冷静と情熱のあいだ Rosso』あらすじ

穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。これが私の本当の姿なのだろうか。誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。
十年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。熱く激しい思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない——。永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

『冷静と情熱のあいだ Rosso』江國香織著 角川文庫出版 (2001/9/25)より引用

別れてしまった、かつての最愛の人
平穏な日常を手に入れてもなお、忘れられないかつての記憶

アメリカ人の恋人と、ミラノで穏やかな日々を送っているあおい。
幸せで満ち足りているはずなのに、埋められない寂しさを抱えています。

そんな時、ある一通の手紙が幸せな日常を侵食していく……。

このストーリーは女性目線なのですが、男性目線のストーリーも出版されています。

おもしろいのが、女性目線は江國香織さん男性目線は辻仁成さんが執筆されているということ。そう、作者が違うのです。

別々の作家さんがひとつのストーリーを描くのって珍しいですよね。両方読むことでそれぞれの想いやすれ違いが明らかになって、よりストーリーの深みと切なさを感じることができます。

かつて恋人だった女性と男性。別れてからのそれぞれの人生を、それぞれの視点から描いたストーリー。

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男性目線の物語はこちら

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『冷静と情熱のあいだ Rosso』感想・レビュー

『冷静と情熱のあいだ Rosso』感想・レビュー

江國さんの作品は「孤独」という言葉がよく似合う。
読了後、胸にひろがるこの悲しみをどう表現すればよいのでしょうか。

こんなにも大切に、愛おしく想いあっているのに上手くいかなくなってしまうもどかしさ。

男性目線の『冷静と情熱のあいだ Blu』も併せて読むことで、より切なく、やり場のない気持ちが味わえます。

ただただ孤独を味わいたい時におすすめの作品。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 不器用な主人公にもやもやする

主人公のあおいは、とっても不器用な人物。幸せな「今」ではなく過去にとらわれて生きています。

優しい恋人がいるのに、過去の恋人にとらわれて上手く生きられない。

もしもあなたが同じように不器用な人なら共感しながら、そうでない方はもどかしいながらも、だんだんと破滅に向かっていく主人公の様子から目が離せなくなってしまうことでしょう。

残酷で悲しい物語ですが、ただひたすら悲しみに浸りたい時にはぴったりです。

あえて孤独や悲しみと向き合うことで、読了後はスッキリとした気分になれるかもしれません。

POINT2. 美しい街並み

本書のおすすめポイントのひとつ。それは、風景描写の美しさ

ストーリーの舞台はイタリアなのですが、主人公のあおいが暮らすミラノの四季の移ろいや、後に訪れるフィレンツェの石畳の街並みが目に浮かぶようです。

日本とは違う時間が流れているような、海外特有の雰囲気とでも言いましょうか。それが文章からも伝わってきます。

旅行に行ったような気分というよりは、実際に現地で暮らしているような気分が味わえます。
旅行のお供にもおすすめの1冊。

POINT3. 孤独を味わう

一見幸せそうに見える主人公のあおいが、いつも心の中に抱えている孤独と悲しみ

著者の江國さんが描く孤独な雰囲気と表現は、読み手の心にスッとなじんでくるから不思議。

帰る場所。
人は一体いつ、どんなふうにして、それをみつけるのだろう。
眠れない夜、私は、人恋しさと愛情とを混同してしまわないように、細心の注意を払って物事を考えなければならない。

『冷静と情熱のあいだ』江國香織著 角川文庫出版 (2001/9/25)より引用

「孤独」が伝わってきませんか?

あまり良い意味合いでは使われませんが、時にはひとりの時間を過ごしてみることで自分と向き合えますし、考えも整理できるので私は孤独な時間がけっこう好きです。

ただひたすらに孤独と向き合う。そんな読書体験もいいのではないでしょうか。

『冷静と情熱のあいだ Rosso』の著者について

冷静と情熱のあいだ Rosso』の著書である江國香織さんは、小説のほかに絵本の制作や翻訳もされています。

学生時代に執筆活動をスタートしてから実に70以上の作品を生み出されており、直木賞をはじめとする数々の文学賞の受賞歴があります。

小説の題材としては恋愛をモチーフにしたものが多く、心の機微や心理描写に定評がある。

『冷静と情熱のあいだ Rosso』感想・まとめ

今回は、孤独を味わう恋愛小説をご紹介しました。

一見ネガティブにとらわれがちな悲しみの感情と向き合うことで、自分でも気づいていなかった心の裡を知るきっかけがもらえるかもしれません。

自分と重ね合わせて共感するもよし、悲しみの世界観にどっぷり浸るもよし。
休日前の夜にベッドでひとりきり、思う存分孤独を感じてみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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