『人のセックスを笑うな』感想・レビュー・あらすじ|愛情について、考える

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当記事は山崎ナオコーラ著『人のセックスを笑うな』の書評です。

今回ご紹介する小説は、人を好きになって、そんな気持ちに振り回されながら大人になっていく学生の男の子が主人公。

学生時代のゆるい空気感、甘酸っぱい気持ちを思い出しながら読むことにしましょう。

それでは、どうぞ。

目次

『人のセックスを笑うな』とは?

人のセックスを笑うな』は、2004年河出書房新社より出版された山崎ナオコーラの恋愛小説。

デビュー作にして、いきなり芥川賞にノミネートされた彼女の代表作。後に映画化もされています。

『人のセックスを笑うな』あらすじ

『人のセックスを笑うな』あらすじ

19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた……美術専門学校の講師・ユリと過ごした日々を、みずみずしく描く、せつなさ100%の恋愛小説。

『人のセックスを笑うな』山崎ナオコーラ著 河出文庫出版 (2006/10/20)より引用

専門学生の「オレ」。なんとなく、将来に不安を感じつつも楽しくゆるい学校生活を送っています。

ひょんなことから先生の「ユリちゃん」にモデルを頼まれ、次第に惹かれていく……。
人を好きになる喜び、悲しみ、衝動をみずみずしく描いた恋愛小説。

松山ケンイチさんと永作博美さんで映画化もされているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

怠惰でゆるい空気感、未熟で不安定な「あの頃」を思い出しながら、読んでみてください。

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『人のセックスを笑うな』感想・レビュー

『人のセックスを笑うな』感想・レビュー

著者の山崎ナオコーラさんは、説明のつかない感情や衝動を表現するのがとても上手いなと思いました。

独特の表現が多いのに、わかるなぁ……と、妙に納得させられてしまう。1行1行を噛み締めながら読んでしまう。そんな文章を書く作家さんだなと。

主人公の揺らぐ気持ち、やり場のない感情に共感するも良し。違和感を感じるもまた良し。

結論づけるようなラストでもないので、読者それぞれに感想が異なるのではないでしょうか。

愛の形、人の愛し方は人それぞれだと教えてくれる、そんな作品です。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. みずみずしい“若さ”に思いを馳せる

主人公は専門学生なのですが、何になりたいのか、自分がどうしたいのかイマイチわかっていません。

この地に足がついていない浮遊感、焦燥感の描き方がリアルで良いなと思いました。

学生時代、誰しも経験した気持ち。いつもつるんでいる友達が将来をきちんと決めたと知って、途端に不安になる、あの気持ち。だからと言って、すぐに動き出すこともできない肥大した自尊心。

若かりし頃、未熟だったあの頃を懐かしむ。振り返って、忘れていた気持ちを思い出す

そうすることで、視野が狭まっていたことに気づけたり、凝り固まっていた価値観を見直すきっかけがもらえるかもしれません。

POINT2. 心理描写に共感する

私は著者・山崎ナオコーラさんの心理描写がとっても好きなのですが、他にはない独特な表現なのにすごく共感できるというか、真理に迫っている感じがするんですよね。

本書では主人公の「オレ」が恋焦がれる「ユリちゃん」との関係性に一喜一憂する様子がとっても素敵でしたので、一部を紹介させていただきます。

オレはかわいい女の子が好きだと思っていた。例えば自分には、顔に好みがあると思っていた。(中略)しかし恋してみると、形に好みなどないことがわかる。好きになると、その形に心が食い込む。そういうことだ。オレのファンタジーにぴったりな形がある訳ではない。そこにある形に、オレの心が食い込むのだ。

『人のセックスを笑うな』山崎ナオコーラ著 河出文庫出版 (2006/10/20)より引用

息を吸うのも、歯みがきをするのも、駅の階段を上るのも苦痛だ。

『人のセックスを笑うな』山崎ナオコーラ著 河出文庫出版 (2006/10/20)より引用

なんだか妙に納得できませんか?こういう気持ち、心当たりがあるんですよね。

そういう「心当たりがある気持ち」の表現がとっても素敵な作家さんですので、文章を味わって読んでみるのもいいかもしれません。

POINT3. 読者に委ねる空気感

主人公の「オレ」と人妻の「ユリちゃん」。

2人の過ごした日々を描いたものなのですが、このストーリーは、はっきり言って大勢が肯定できるようなものではないと思います。

ですが、人には誰しも弱い部分、自分でも肯定したくないおかしな部分があるのではないでしょうか。

受け入れられるかどうかは別として、こういう部分にスポットライトを当てているということ、ストーリーに結論をつけずに終わらせているところに注目して読んでいただきたいと思いました。

感じ方は人それぞれ、愛の形は人それぞれなのだなと思わせてくれます。

『人のセックスを笑うな』の著者について

人のセックスを笑うな』の著者、山崎ナオコーラさんは日本の小説家。

コーラが好きだからという、そのまますぎる理由でこの独特なペンネームになったのだとか。

しかし独特すぎるペンネームとは裏腹に、これまで執筆した作品のほとんどが芥川賞候補に選ばれるという実力の持ち主。繊細な心理描写に定評があります。

『人のセックスを笑うな』感想・まとめ

今回は、愛情について考えるきっかけをくれる小説をご紹介しました。

文章の美しさを感じながら、主人公の気持ちを味わい、学生時代に思いを馳せる。

忘れていたあの頃の気持ちを思い出す……そんな読書体験もいいのではないでしょうか。
ぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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