『マチネの終わりに』感想・レビュー・あらすじ|折り合いのつけ方を考える

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当記事は平野啓一郎著『マチネの終わりに』の書評です。

今回ご紹介するのは、強く惹かれあってしまった2人が自分の気持ち、周囲との関係とどう折り合いをつけていくのかを考えさせられる、大人の恋愛小説。

自分の気持ちがわからなくなってしまった時、疑問を感じた時にヒントがもらえるかもしれません。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『マチネの終わりに』あらすじ

『マチネの終わりに』あらすじ

天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という〝人生の暗い森〟を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。

『マチネの終わりに』平野啓一郎著 文春文庫出版 (2019/6/10)より引用

日本で活躍するギタリストの蒔野と国際ジャーナリストの洋子。出会った瞬間から強く惹かれ合った2人。

日本と海外という離ればなれの環境や、ライバルの出現。すれ違いや勘違いに何度も試される絆。

果たして2人の運命は?

喜び、失望感、悲しみ……人を愛する時に味わうすべての感情を鮮烈に描いた、大人の恋愛小説ここにあり。

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『マチネの終わりに』感想・レビュー

『マチネの終わりに』感想・レビュー

もどかしい。とにかく、ずーっとジリジリする。
思わずこの物語に入っていって仲立ちしてあげたくなるくらい、ジリジリしました。

正直、2人の関係性や考え方には疑問を感じる方もいるかと思います。
ですが、それこそが大人の恋愛小説の醍醐味ではないでしょうか。

気持ちが溢れてしまった時の自分との向き合い方もそれぞれ異なっていて、恋愛に限らず参考になりましたし、若い世代ではきっとこうはならないであろう展開に、アラフォー世代のリアリティを感じます。

小説なのでフィクションのはずですが、前書きにもある通り、2人のモデルがいたという情報も気になるところ。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 映画のワンシーンのような描写力

本書は風景描写の美しさも魅力的。

ジャーナリストの洋子は日本と海外を行き来するのですが、暮らしや街並みが素敵で、まるで映画を見ているかのような、シーンが画として浮かび上がってくるような感覚がありました。

実は本作、福山雅治さんと石田ゆり子さんで実際に映画化されています。ギタリストの福山さんと知的な印象の石田さん。ぴったりの配役ですね!

旅行のお供に、非日常感、旅行気分が味わいたい時にぴったりの作品です。

POINT2. 大人の恋愛のもどかしさ

この2人、こんなに想い合っているのにすれ違いが絶えません。

その原因は、海外と日本という活動拠点の違いもありますが、何より1番感じたのは大人特有の常識的に振る舞おうというストッパーと忖度。

読者は双方の視点を見られる分、もどかしさでいっぱいになりますが、きっと私たちの日常の中にもこんなすれ違いは普通に起きているのかもしれません。

もちろん、お互いに立場があるので気持ちのままに突っ走るのがいいとは言えません。ですが、結局素直に思いを伝えることでしか分かり合えないですし、進められないんですよね。

素直にぶつかるのはとっても勇気のいることですが、後悔しないためにも、自分の運命を変えるためにも、思い切って行動を起こすというのは大事なことなんだなと実感させられました。

もしもあなたが今、何か迷っていることがあるなら背中を押してくれる1冊になるかもしれません。

POINT3. 幸せとは?

強く惹かれ合いながらも、それぞれが築き上げてきた周囲との関係性も壊せない2人。この周囲への気持ちにも決して嘘はなくて、だからこそ余計に苦しむことになっていきます。

蒔野と洋子の関係性は、公に褒められたものではないかもしれません。

ですが、恋愛だけに留まらず、心が動いてしまった時にどういう態度をとるのかは人によってさまざま。

気持ちにフタをしてうやむやにする者、手に入れたいと願ったものを全力で求める者、身を引く者……何が正解かはわかりませんが、自分ならどうするのか、幸せとは何なのか?を考えさせられるストーリーでした。

読み手の立場や価値観によっても、感じ方は変わってくるかもしれませんね。

ラストシーンは必見です。

『マチネの終わりに』感想・まとめ

『マチネの終わりに』感想・レビュー・あらすじ|折り合いのつけ方を考える

今回は、幸せとは何なのか?を考えさせられる、大人の恋愛小説をご紹介しました。

恋愛観、感じ方は読み手によって様々かと思いますが、気持ちが動いてしまった時の過ごし方、考え方は参考になるかもしれません。

恋愛に限らず、自分の気持ちがわからなくなってしまった時、疑問を感じた時に、ぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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