『間宮兄弟』感想・レビュー・あらすじ|休日の昼下がりに、気軽に読みたい物語

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小学館
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当記事は江國香織著『間宮兄弟』の書評です。

今回ご紹介するのは、見た目も性格も似ていない、だけどとっても仲良しな兄弟のお話。

女性とはあまり縁のないこの2人ですが、日々のなかにほんのささやかな楽しみを見つけるのが上手です。この2人を見ていると、なんだかこんな生活もいいな……なんて、ちょっぴり羨ましくなるほど。

真面目でいいやつ、だけどちょっぴりダサい兄弟から、心地よく暮らすためのヒントがもらえるかもしれません。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『間宮兄弟』とは?

間宮兄弟』は、2004年小学館より出版された江國香織の小説。

冴えない兄弟のヒューマンストーリーが人気となり、後に映画化もされています。

『間宮兄弟』あらすじ

『間宮兄弟』あらすじ

もてなくとも幸福に生きる兄弟の日常の物語

女性にふられると兄はビールを飲み、弟は新幹線を見に行く。そんな間宮兄弟は人生を楽しむ術を知っている。江國香織がもてない男性の日常を描いて話題になり、森田芳光監督の映画化も大ヒットした小説の待望の文庫化。

Amazonより引用

これは、女にはモテないけれど仲良く楽しく暮らしていく男兄弟のヒューマンストーリー

女性に対する憧れはありつつも、互いを思いやり、趣味や思い出を語り合いながら、日々をやり過ごすのではなく楽しみながら暮らしています。

そんな兄弟に恋の兆しが訪れますが、果たして2人に素敵な人はあらわれるのでしょうか?

ちなみにこの作品は映画化もされています。キャストは、佐々木蔵之介さんとドランクドラゴンの塚地武雅さん。もう、これ以上ないくらいにぴったりの配役でした。

私は読み終わってから映画の存在を知ったのですが、最初からこのお2人で脳内再生しながら読むのも面白そうですね。

友だちの、ちょっと笑える失恋エピソードを聞くような気持ちで気軽に手にとってみてください。

読み終わる頃にはまるで彼らを幼なじみのように感じ、エールを送りたくなるはずです。

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『間宮兄弟』の感想・レビュー

『間宮兄弟』の感想・レビュー

野球が好きで引っこみ思案な兄・明信と、料理好きで楽観的な弟・徹信。彼らは穏やかで誠実な好人物に描かれています。

2人で過ごしている時の彼らはとても穏やかで優しく、魅力的です。一見、なぜこの2人に恋人ができないのだろう?と不思議に思うほど。しかし、どういうわけか女性を前にすると急に本来の自分を見失い、持ち味が出せなくなってしまうのです。

2人はもう30歳も過ぎたいい大人なのですが、まるで中学生の初恋のような不器用なやりとりに、思わず笑ってしまいました。

それでも彼らと関わることで、なぜか前向きで晴れやかな気持ちになっていく女性たち。

恋人としてはさておき(笑)気取らず真面目に暮らしていく2人の姿から、心地よく生きるためのヒントをもらえそうです。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. モテない原因は?

2人にはたびたび気になる女性があらわれますが、どうもアプローチが苦手なようで、しばしば相手を驚かせてしまいます。

例えば引っこみ思案な兄の明信は、女性を誘うとき緊張のあまり無表情で早口になり、不気味がられてしまいます。反対に弟の徹信は、やや強引な誘い方で女性から怖がられてしまいます。

そんな2人は、お互いのアプローチ方法に密かに疑問を抱いていますが、無論どちらにも成功例がないので指摘することもままなりません。

失恋のたびにお互いをそっと見守る兄弟愛にはほっこりしますが、ヘンテコなアプローチのシーンには、笑わずにはいられません

POINT2. 周りの人たち目線の「語り」が面白い

小説には必ず「語り手」というのがいますよね。主人公だったり、その友だちだったり誰かの視点でストーリーが進むと思いますが、この作品には語り手が複数登場します。

兄弟どちらかの視点はもちろんですが、その母親、友だち、同僚など、実にさまざまな人物の視点で物語が進行していきます。

視点が変わることで、兄弟のズレている感覚とそれに気づいていないシュールさが明らかになり、「残念さ」が際立っていました。

兄弟たちの目線だけでは気づけない「モテないポイント」にも注目です。

POINT3. 心理描写が秀逸!

私は江國香織さんの作品が好きでかれこれ10冊以上読んできましたが、好きな理由はなんと言っても心理描写のセンスがオシャレなんです。

例えば、兄・明信が女性を誘ってOKがもらえた時のシーンに、こんなものがあります。

一メートル進むごとに喜びが現実感を伴っていく。やった、やったじゃないか。力が漲り、明信はいまや駆けだしたい気持ちだった。一粒で三百メートル走れるとかいう、赤い箱のキャラメルを何箱も食べたみたいに。

『間宮兄弟』江國香織著 小学館文庫出版 (2007/11/6)より引用

「グリコ」という商品名を出していないのに、一発でわかりますよね。例の両手を広げて走っているイラストが思い起こされて、嬉しい気持ちがこちらにまで伝わってきませんか?

運動会の前日にはりきって食べた思い出が、私だけじゃなく「みんなの共通項」になっている!と嬉しくなってしまいました。

こういう描写が他にもたくさん出てきて、さすがベストセラーの多い作家さんだなと思いました。

『間宮兄弟』の著者について

間宮兄弟』の著書である江國香織さんは、小説のほかに絵本の制作や翻訳もされています。

学生時代に執筆活動をスタートしてから実に70以上の作品を生み出されており、直木賞をはじめとする数々の文学賞の受賞歴があります。

小説の題材としては恋愛をモチーフにしたものが多く、心の機微や心理描写に定評がある。

『間宮兄弟』を読んだ感想・まとめ

決して「イケてる」2人ではないけれど、誰に対しても丁寧に、真面目に接する姿には見習うべきものがありました。

深く考えさせられる小説もいいけれど、たまには漫画を読むような感覚で気軽に読書を楽しみたい。そんな気分の時にぴったりな小説です。ぜひ、次の休日のおともにしてみてください。

読み終わる頃には、ちょっぴりかっこ悪い兄弟の日常が、愛おしく思えるはずです。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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