『紅蓮館の殺人』感想・レビュー・あらすじ。大切なのは真実か心か?

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当記事は『紅蓮館の殺人』の書評です。

出版されるや否や、国内のミステリー賞をたちまち席巻した話題作。

書店でもいつも目立つところに平積みされています。

どんな作品なのか、読んでみた感想をまとめました。

目次

『紅蓮館の殺人』とは?

『紅蓮館の殺人』は、2019年に講談社タイガより出版されると瞬く間に国内のミステリー賞候補に選出された。

本書を皮切りに〈館四重奏〉シリーズとして、2025年現在は『蒼海館の殺人』『黄土館の殺人』が出版されている。

『紅蓮館の殺人』あらすじ

山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿をぬけ出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人と他の避難者は脱出を優先するべきだと語り──。 タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。

『紅蓮館の殺人』阿津川辰海 著 講談社タイガ出版 (2019/9/18)より引用

主人公は男子高校生。

火災に遭い、逃げ込んだ館で人死にが出てしまいます。事故なのか、殺人か?

迫り来る火の恐怖と戦いながら、高校生探偵は真実を解き明かすことができるのでしょうか。

手に汗握る密室ミステリー。

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『紅蓮館の殺人』感想・レビュー

筆者はミステリーが好きで、これまでざっと100冊以上は読んできたと思うのですが、その中でも特におすすめしたいと思う1冊になりました。

なんと言っても“種明かしの時間”がたっぷり取られているので思う存分堪能でき、伏線回収も見事なのです。

文庫本で400ページ超えと長編にはなりますが、そんなことは感じさせないくらい一気に読み切れます。

感想を3つのポイントに絞ってお伝えします。

ミステリー好きにはたまらない推理の時間

ミステリー小説を読む時、あなたはどのように楽しんでいますか?

私は推理や考察をしながら読み進め、大抵外れて「そうくるか!」と驚かされる瞬間が好きなのですが、本書のすごいところはストーリーの半分が“種明かしの時間”に当てられているということ。

まだだいぶページが残っているのに、こんなに早く種明かしを始めて大丈夫なんだろうか。と心配になるのですが、読んでいくと、たくさんの伏線が複雑に絡み合っていたことに気づかされて驚きます。

読者には提示されていなかった新事実というのはなく、ちゃんと提示されていた条件で謎が解き明かされていくので推理のしがいがありましたし、最後まで読み切った時は爽快でした。

ミステリー小説好きにはぜひおすすめしたい1冊です。

心理描写

著者の阿津川 辰海(あつかわ たつみ)さんは本書がデビュー作とのことなのですが、驚いたのは心理描写の細やかさです。

ミステリー小説はトリックや伏線回収ももちろん大切だと思いますが、事件を起こすのは人間ですから、動機や心理描写も重要な要素ですよね。

本書では、要所要所でモノローグが挟まります。過去の出来事やそれぞれの想いが明らかになることで、キャラクターの個性を把握しやすくなり、読み進めるにつれ、物語の解像度が上がっていくのを感じました。

これからも新しい作品を生み出されるでしょうから、筆力の高さも注目です。

大切なのは、真実か心か?

本書には探偵役が2人出てきます。どちらも大変若く、一方は若干高校2年生の男の子です。

どちらも大変聡明なのですが、まだまだ未熟な部分も多く真実を解き明かそうとするあまり、時には他の人々を危険に晒してしまうことさえあります。

2人の探偵が真実に辿り着いた時、真実を明かす必要があるのか、人の心を守るべきか。それぞれに苦悩が生じます。

真実を伝えることが正義なのか、大切なことは何なのか。

答えの出ない問いについて、考えながら読んでみてはいかがでしょうか。

『紅蓮館の殺人』の著書について

著者である阿津川 辰海(あつかわ たつみ)は本書がデビュー作。いきなり国内のミステリー賞候補作となったため、新人のミステリー作家として文壇で注目を集めた。

『紅蓮館の殺人』まとめ

今回は『紅蓮館の殺人』をご紹介しました。

ハラハラドキドキの展開に、夢中になること間違いなしです。

ミステリー好きの方はぜひ手に取ってみてください。

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