『プリンセス・トヨトミ』感想・レビュー・あらすじ|守るために、戦う

『プリンセス・トヨトミ』感想・レビュー・あらすじ|守るための、戦い
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当記事は万城目学著『プリンセス・トヨトミ』の書評です。

今回ご紹介する作品は、歴史にファンタジー要素をかけ合わせたお話。

現実ではありえない設定に、読みながら「んなワケあるかい!」とツッコまずにはいられません。

なのにその世界に没頭することで現実を忘れられて、不思議とリフレッシュできるんですよね。

面白いのに、読み終わった後にはなぜか心があったかくなる。そんなストーリーです。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『プリンセス・トヨトミ』あらすじ

『プリンセス・トヨトミ』あらすじ

なにか、おかしい……東京から来た会計検査院の調査官3人が嗅ぎつけた違和感は、400年の長きにわたる豊臣家と大阪城の知られざる秘密だった⁉︎

会計検査院。あまりなじみがないですよね。早い話が「お金にまつわるチェックを実施する行政機関」ですね。大阪府庁の検査で訪れた会計検査院のメンバーが、不自然なお金の流れを見つけ出すところからストーリーは始まります。

はじめはお仕事小説のような雰囲気なのですが、想像を超えたスケールの展開に、ドキドキワクワクが止まりません。

ジャンル分けするとしたら「歴史を紐解く現代小説」とでもいいましょうか。もちろんフィクションなのですが、本当にこうだったら素敵だな。と思える結末に、ほっこりすること間違いなし。

作者の万城目さんは、出身地である関西を舞台とした小説を多数執筆されています。本作とつながりのある『とっぴんぱらりの風太郎』を先に読むのもオススメです。

ぜひ手にとってみてください。

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『プリンセス・トヨトミ』感想・レビュー

『プリンセス・トヨトミ』感想・レビュー

万城目ワールド
こんな言葉が生まれるくらい、著者の万城目学さんが描く作品には独特の世界観があります。

私は本書のほかにも万城目さんの作品を読んでいるのですが、読了後はどの作品も、急に現実に引き戻されて頭がついてこないような感覚に陥ります。旅行から帰ってきて、なんだかすぐに日常生活に戻れない……そんな浮遊感。

ですが本筋のストーリーはしっかりしていて、オチも伏線も回収してくれるのでご安心を。ちょっと変わった小説が読みたい方、ミステリー好きにもおすすめです。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. これ、どういう話?

ストーリーは、会計監査院から出張してきた3人組のお仕事パートと、大阪の中学生のパートがそれぞれ進行していきます。

これ、いったいいつ、どんな形でつながるの?と、イマイチわからないままストーリーが展開していくのですが、だんだんと全貌が明らかになるにつれ、思っていたより数倍スケールの大きい話に驚かされます。

ミステリーなのか、コメディなのか、はたまた歴史小説のくくりに入れてもいいのか?ジャンル分けがむずかしいところですが、それこそが作者である万城目さんの特徴。一見奇想天外なストーリーを、日常生活にうまく溶け込ませて読みやすくしてくれています。

なのでちょっと変わったストーリーが好きな方にもおすすめですし、日常から離れてリフレッシュしたいときにぴったりです。

POINT2. キャラクター設定のセンス

作者・万城目さんの描くキャラクターは、みんな味があって良い。
完全な悪者、みんなのヒーロー……そんな人は、1人も出てきません。大人も子どもも、みんな完璧じゃないし、どこかズレていたり、欠けていたり。

主人公の真田大輔においては、女の子になりたい。という突拍子もないキャラ設定なのですが、この設定が後々ストーリーにちゃんと効いてきて、なぜこの設定になったのかがわかります。

私たちが生きている現代社会も「ふつうの人」なんて1人もいなくて、みんな必ず個性や特徴がありますよね。

それぞれの個性を尊重する世界観が素敵で、私もこのままでいいんだ。と肯定してくれているようであたたかい気持ちになれました。

そして、注目して欲しいのがネーミング。本作は豊臣秀吉との関わりが深いストーリーなのですが、登場人物のほとんどが秀吉の奥さんや、家臣の名前から付けられているのです。

大阪の地元メンバーが豊臣由来の名前なのに対し、東京から来た会計検査院のメンバーが江戸で幕府を開いた徳川由来というのもセンスを感じました。

POINT3. それぞれの守るべきものと、戦い

基本的には、クスリと笑えるエンタメ小説。なのですが、物語の中ではみんな、自分の大切なものを守るために戦っていました。

戦い方も、守りたいものも人それぞれでしたが、心構えが素敵だなと思った表現がこちら。

「少しずつ、世の中は見えへんところで変わっていくもんやと思う。どんな阿呆みたいな話だって、いつかはみんなに伝わる。だから、僕も伝えられると思う。誰からも、当たり前のものとして接してもらえる日がくる——時間はかかるかもしらんけど」

『プリンセス・トヨトミ』万城目学著 文春文庫出版 (2011/4/10)より引用

かっこいいですよね。守ることって決して楽なことではありませんが、みんな頑張っているし、私も頑張ろう。と読了後に背筋が伸びるような、そんな気持ちになれました。

『プリンセス・トヨトミ』感想・まとめ

ちょっと変わった小説が読みたい方、歴史に興味のある方、ヒューマンストーリーが好きな方……さまざまな方におすすめです。

どのジャンルにも当てはめられない「万城目ワールド」を堪能してみてください。

クスリと笑って、読み終わった後には心があったかくなるはず。
勇気が欲しいときに、背中を押してくれる作品です。

ぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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