行ってみたいところはどこですか?
南国のリゾートでバカンス、ヨーロッパのオシャレな街をお散歩、時には国内でのんびりなんて過ごし方も……いいですよね。
ですが、そう簡単に行けないのが現実です。
今回はそんなあなたのために、家にいながら旅行にいった気分になれる小説をおすすめします。
国内外を問わず、さまざまなジャンルからセレクトしましたので、旅先を決めるような感覚で選んでもらえれば幸いです。
旅行に行った気分になれる小説おすすめ10選
今回は、自宅を離れて旅先やホテルで過ごすストーリーを10冊集めました。
国内を巡る者あり、フィンランドの旅行記あり、果てはなんと南極まで。
休みの日にゆっくり自宅でトリップ。もちろん、旅のお供にもどうぞ。
- 旅屋おかえり
- プリズンホテル
- 私にふさわしいホテル
- オイアウエ漂流記
- かもめ食堂
- キウイおこぼれ留学記
- いつも旅のなか
- わたしのマトカ
- くまのパディントン
- 面白南極料理人
旅屋おかえり
あなたの旅、代行します!
『旅屋おかえり』原田マハ著 集英社文庫出版 (2014/9/25)より引用
売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった―—。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
人の代わりに旅をする——売れないタレントがひょんなことから始めた「旅の代行」。
もともとはタレントとしての仕事がなくなり、なし崩し的に始めたことでしたが、旅を通して人と触れ合うことでたくさんのことに気づかされます。
日本各地の素敵な景色がたくさん出てきますので、ゆったりと国内旅行をしている気分が味わえます。
忙しい日々の中で、少し立ち止まって自分を見直したい時にもおすすめ。
プリズンホテル
極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待されたそのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ——。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家……不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙のスペシャル・ツアーへようこそ。
『プリズンホテル 1 夏』浅田次郎著 集英社文庫出版 (2001/6/25)より引用
舞台は旅先ではなく、ホテルのなか。
しかもなんとこのホテル、ヤクザ専用なんです。何故かそんなホテルで「缶詰」をすることになってしまった一般人の小説家。
集まってくるお客さんもどこか普通じゃないようで、次々と巻き起こる珍事件に巻き込まれていく小説家の様子が最高に笑えます。
シリーズもので4巻まで出ていますので、四季折々の季節感も楽しめるのが嬉しいところ。
笑いあり涙ありのどたばたコメディ。
私にふさわしいホテル
文学新人賞を受賞した加代子は、憧れの〈小説家〉になれる……はずだったが、同時受賞者は元・人気アイドル。すべての注目をかっさらわれて二年半、依頼もないのに「山の上ホテル」に自腹でカンヅメになった加代子を、大学時代の先輩・遠藤が訪ねてくる。大手出版社に勤める遠藤から、上の階で大御所作家・東十条宗典が執筆中と聞き――。文学史上最も不遇な新人作家の激闘開始!
Amazonより引用
主人公は、かけだし……てから2年半、賞を受賞してからというもの、なかなかヒット作が出せずにいる小説家。
数々の文豪に愛された、憧れの「山の上ホテル」で依頼もないのにカンヅメになるところからストーリーは始まります。
そう、東京にあるあの「山の上ホテル」が舞台。
私自身もそうですが、主人公にとっても憧れのホテルとあって、ホテルや室内の雰囲気が詳細に描かれているのが嬉しいポイント。
リアルな宿泊気分が味わえます。
オイアウエ漂流記
南太平洋の上空で小型旅客機が遭難、流されたのは……無人島!生存者は視察旅行中のサラリーマンと接待先の御曹司、成田離婚直前の新婚夫婦、ボケかけのお祖父ちゃんと孫の少年、そして身元不明の外国人。てんでバラバラな10人に共通しているのはただひとつ、「生きたい!」という気持ち。絶対絶命の中でこそ湧き上がる、人間のガッツとユーモアに感涙する、サバイバル小説の大傑作。
Amazonより引用
旅行中に飛行機が遭難し、たどり着いたのは無人島……。飛行機の中では読まない方がいいかもしれません(笑)
10人の老若男女が生き残りをかけ、協力したり揉めたりする様子はとてもリアリティがあって、私だったらどうするかな?と考えさせられました。
とはいえ、緊迫感はあまりなくコメディタッチな内容となっていますので、旅行のお供に気軽に手にとってみてください。
かもめ食堂
ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれどもお客といえば、日本おたくの青年トンミひとり。ある日そこへ、訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、店を手伝うことになり……。普通だけどおかしな人々が織り成す、幸福な物語。
『かもめ食堂』群ようこ著 幻冬舎文庫出版 (2008/8/10)より引用
ストーリーの舞台はフィンランド。主人公のサチエは1人で食堂を経営しています。
「東洋人の女の子が一人でやっている謎の店」と敬遠され、初めはなかなかお客が入りません。
ですが、不思議な縁や出会い、サチエの人柄も手伝って、次第に人が集まるようになってきて……。
おにぎり、シナモンロール、コーヒー……サチエの作る、素朴だけど心のこもった料理に読んでいるだけで心が癒されます。
何も考えず、ほっと一息つきたい時にぴったりのヒューマンストーリー。
キウイおこぼれ留学記
女優業とマダム業を日々真面目にこなすマダム小林に、降ってわいた憧れの留学話。ところは秋の終わりのニュージーランド。優しい初老の御夫婦宅にホームステイし、久々の英語の授業に頭はフル回転、日常を離れて学生気分を満喫、と思った矢先、深夜、激しい腹痛に見舞われて……。たったの十日間だけど濃くて刺激的だった「お試し留学」体験記。
『キウイおこぼれ留学記』小林聡美著 幻冬舎文庫出版 (2002/10/25)より引用
女優の小林聡美さんが、ニュージーランドでの留学体験を綴ったエッセイ。
仕事の合間に日本を離れ、ホームステイをしながら学校に通う。なんだかとっても楽しそうですよね。
旅行に出るときのあのワクワク感が体験できますので、飛行機のお供にぴったり。
開放感とカルチャーショックが体験できる1冊です。
いつも旅のなか
仕事も名前も年齢も、なんにも持っていない自分に会いにゆこう
ロシアの国境で居丈高な巨人職員に怒鳴られながら激しい尿意に耐え、キューバでは命そのもののように人々にしみこんだ音楽とリズムに驚く。五感と思考をフル活動させ、世界中を歩き回る旅の記録。
『いつも旅のなか』角田光代著 角川文庫出版 (2008/5/23)より引用
小説家の角田光代さんが、海外旅行中に感じたことを綴ったエッセイ。
日本では考えられないような珍体験やトラブルに、角田さん御一行が戸惑い、驚く様子が最高に面白かったです。
エッセイなのにまるで物語のように感じられるのは、さすが小説家の執筆力。読み応えありの1冊。
わたしのマトカ
ゴムに塩と砂糖をまぶしたような激しい味の「サルミアッキ」に驚愕、お互い言葉が通じないトラムの運転手さんの親切に涙、怪しいクラブ「地獄」に果敢に挑戦、フィンランドのおふくろの味に舌鼓……。旅好きな俳優が、映画の撮影で滞在したフィンランドの日々をユーモアと愛情たっぷりに綴る、人情味溢れる旅の話。笑えてジンとくる、名エッセイ。
『わたしのマトカ』片桐はいり著 幻冬舎文庫出版 (2010/2/10)より引用
俳優の片桐はいりさんが、映画「かもめ食堂」で滞在したフィンランドでの日々を綴ったエッセイ。
通じない言葉をもろともせず、食事や文化に果敢にチャレンジする様子に注目です。
観光地巡りというよりかは、実際に現地で暮らす人々の日常が体験できる1冊。
くまのパディントン
単身でイギリスへやってきた、くまのパディントン。
ひょんなことから一緒に暮らすことになったブラウンさん一家との日常を綴ったストーリー。
本書は児童向け文学。えっ……子供向け?と、あなどる事なかれ。
大人になった今だからこそハッとさせられる「常識」よりも大切なことが、たくさん描かれているのです。
パディントンを通して、イギリスの街並みや食事、文化が堪能できる1冊です。
面白南極料理人
最後は少し変わり種を。
南極観測隊。ご存知ですか?名前だけはなんとなく聞いたことがありますよね。
本書は実際に南極観測隊として従事された海上保安官の方が、南極で過ごした1年間を日記風にまとめた1冊。
著者の西村さんの軽妙な文体がとっても読みやすく、過酷な労働環境さえも笑い飛ばしてしまうハートの強さには圧巻です。
南極観測隊って、どんな仕事をしているんだろう?そもそも南極ってどんなところ?
好奇心の赴くままに、ページをめくってみてください。まだ見ぬ最果ての地へ、いつでもトリップできます。
旅行に行った気分になれる小説まとめ
今回は、家にいながら旅行にいった気分が味わえる小説をご紹介しました。
旅行に行くお金も時間もない。そんな時でも、いつでも読書は私たちを別世界へ連れていってくれます。
次の休みはどこに行こう?そんなことを考えながら、楽しく選んでいただけたら幸いです。