『海賊とよばれた男』感想・レビュー・あらすじ|戦後の経営者に学ぶ、仕事との向き合い方

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当記事は百田尚樹著『海賊とよばれた男』の書評です。

今回ご紹介する小説の主人公は、逆境にも負けずに戦後の日本を生き抜いた実在の人物。

お仕事小説ですが、史実に基づいているのでドキュメンタリーを見ているような臨場感が味わえます。

苦しい時の考え方、振る舞い方にヒントをもらえるかもしれません。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『海賊とよばれた男』あらすじ

『海賊とよばれた男』あらすじ

 1945年8月15日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

『海賊とよばれた男』百田尚樹著 講談社文庫出版 (2014/7/15)より引用

戦争が終わった——。文字通りすべてを失った日本で、1人の社員もクビにせず会社の再建を図った男の半生を描いた物語。

「この物語に登場する男たちは実在した」本書のはじめに、こんな文言があります。

そう、本書の主人公である国岡鐡造は、石油を取り扱う出光興産の創業者・出光佐三さんをモデルに、史実に基づいて描かれたそうです。

戦前より石油販売の会社を経営していた出光さん(作中では国岡)。終戦後はその石油を手に入れることすらままならず、開店休業の状態から物語はスタートします。

そこから一代で、誰もが知る大企業に成長させるまでのサクセスストーリーなのですが、これが実際に起きたことなので驚きです。

戦後の激動の時代を生き抜いた男たちの、壮絶なドキュメント

ぜひ手に取ってみてください。

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『海賊とよばれた男』感想・レビュー

『海賊とよばれた男』感想・レビュー

これはお仕事小説であり、立派なビジネス指南書とも言えるのではないでしょうか。

文庫本で上下2冊、延べ900ページにも及ぶ長編ですが、ドキュメンタリーを見ているような気持ちでハラハラドキドキ、あっという間に読み終わってしまいました。

作中の国岡のセリフには目頭を熱くさせるような、人の心を揺さぶる言葉がたくさんあるのですが、実はこれ、本当に出光さんがおっしゃった内容も多く使われているそう。

リーダーシップがあって、人の心を惹きつける人柄も備わっている……どうりで社員がついてくるわけですね。

経営手腕、部下や社員との向き合い方などなど、勉強になることばかりでした。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 経営手腕がすごい!

戦争で廃業同然となった国岡商店。

普通、会社としての収益が見込めない状態では会社をたたむか、従業員に辞めてもらうかしかないと思うのですが、なんとこの「国岡商店」は誰ひとり、クビにしません。全員で会社を立て直しにかかります。

元は石油販売の会社だったのに、敗戦直後は漁の手伝いからラジオの修理まで何でもやります。しかも「仕方なく」ではなく「会社のために、日本のために喜んで」というスタンスで。

経営者である出光さん(作中では国岡)がこんな調子でしたから、はじめは戸惑う社員たちも面白がっていろいろな仕事を取ってくるようになるのですが、ここで終わらないのが出光さんのすごいところで。

社員たちには「どんな仕事も喜んで」と言いつつ、ご本人は本業であった石油販売をなんとか復活させようと、社員たちのために動いているのです。

素敵な話ですよね。口先だけではなく、いつも社員のために先陣きって頑張る姿には胸が熱くなりました。

POINT2. 戦争について考える

現代を生きている方達は、私を含めもうほとんどが戦争を体験していない世代かと思います。

今でもドラマや映画、手記などで語り継がれていますがその悲惨さは目を覆いたくなるようなものばかり。

史実に基づいているので、本書でもつらくなるような描写はたくさん出てきますが、だからこそおすすめしたい作品だと感じました。

戦後の日本がどんな状態であったのか、その中で生きている人たちはどんな気持ちでどんな暮らしをしていたのか。リアルなその当時の実情を、知ることができます。

戦争について考えてみるきっかけになるかもしれません。

POINT3. 求められるリーダー像

すべてを失ったとき、人は何を求めるのでしょうか
日本が戦争に負けたと知って呆然とする社員たちに、出光さん(作中では国岡)はこんな言葉をかけます。

「昨日まで日本人は戦う国民であったが、今日からは平和を愛する国民になる。しかし、これが日本の真の姿である。これこそ大国民の襟度である。日本は必ずや再び立ち上がる。世界は再び驚倒するであろう」

『海賊とよばれた男』百田尚樹著 講談社文庫出版 (2014/7/15)より引用

ジーンときませんか?不安でいっぱいの時にこんな言葉をかけられたら、どれだけ心強いことか。

他にも出光さんは、家族に、社員に、たくさんの力強い言葉をくれるのですが、そのどれもが胸に留めておきたいものばかり。

時代によって求められるリーダー像は変わりゆくものですが、明日が見えない、手探り状態の当時には、こんな風に引っぱっていってくれる人の存在はさぞ頼もしかったことでしょう。

時代の流れを読み、社員を導く姿からは学ぶべきことがたくさんありました。

『海賊とよばれた男』感想・まとめ

今回は、ビジネス書のようなドキュメンタリーのような、ひとりの男の生き様を描いたストーリーをご紹介しました。

戦後の激動の時代を生き抜いた男たちから、人生を指南してもらう
そんな読書体験もたまにはいいのではないでしょうか。

ぜひ手に取ってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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