『くまのパディントン』シリーズ 感想・レビュー・あらすじ|児童文学から、学ぶ。

『くまのパディントン』シリーズ10作 感想・レビュー・あらすじ|児童文学から、学ぶ。

当記事はマイケル・ボンド著『くまのパディントン』の書評です。

今回ご紹介するのは、私に読書の楽しさを教えてくれた児童向けの文学作品です。

えっ…児童向け?とびっくりされるかもしれません。そうなんです。今回は、児童向けの作品を大人のあなたにおすすめしたいのです。

子ども用とあなどる事なかれ。大人になった今だからこそハッとさせられる「常識」よりも大切なことが、たくさん描かれています。

10冊を超えるシリーズものですが、子ども向けなので字が大きく、挿絵もあるのであっという間に読めちゃいます。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『くまのパディントン』シリーズの順番とあらすじ

『くまのパディントン』シリーズの順番とあらすじ

パディントン駅に家族を迎えにきていたブラウンさん夫妻は、一匹のくまと出会います。
言葉を話し、礼儀正しい様子でしたが行くあても、名前もないようで、見かねたブラウン夫妻は家に連れて帰ることにしました。

名前の由来となった「パディントン」はロンドンに実在する地下鉄の駅の名前だそうです。書籍が人気になり、現在パディントン駅には「くまのパディントン」の銅像まであるのだとか。

英語の原作のシリーズは全部で15巻出版されているそうです。うち13巻までは日本語版も出版されているようですが、実は私は10巻までしか知りませんでした。

今回記事を書くにあたり調べてみると、1〜10までが福音館より出版されており、のちにWAVE出版より11〜13が発売されているようです。

私が読了済なのは福音館の10巻のみなのですが、シリーズの発行順をまとめましたので11〜13もまとめておきます。

  1. くまのパディントン
  2. パディントンのクリスマス
  3. パディントンの一周年記念
  4. パディントン フランスへ
  5. パディントンとテレビ
  6. パディントンの煙突掃除
  7. パディントン妙技公開
  8. パディントン街へ行く
  9. パディントンのラストダンス
  10. パディントンの大切な家族
  11. パディントン、テストをうける
  12. パディントンのどろぼう退治
  13. パディントン、映画に出る

今回は、私が読了済みの1〜10までのあらすじを説明していきますね。

『くまのパディントン』あらすじ

『くまのパディントン』あらすじ

南米のペルーからロンドンにやってきたくまのパディントンは、ひょんなことからブラウンさんの一家と暮らしはじめました。ママレードが大好きで、いつも困った事件にまきこまれるけれど、いつも運よく逃れてしまうパディントンは、たちまち街の人気者になります。

『くまのパディントン』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版(2002/6/20)より引用

パディントンシリーズの第1巻。ブラウンさん一家とパディントンが出会う、最初のエピソードが描かれています。

全部で8つのストーリーが収録されていて、以降、全てが1話完結型のショートストーリーなのでどこから読んでもかまいません。

ですが、この1巻めに収録されている最初のエピソード「どうぞこのクマのめんどうをみてやってください」と「はじめてのおふろ」は続けて読むことをおすすめします。

この2つを読めば、パディントンがどんな性格、価値観をもった「くま」なのか、よーくわかるはず。

そしてパディントンのファンになること間違いなしです。

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『パディントンのクリスマス』あらすじ

『パディントンのクリスマス』あらすじ

今ではすっかり人気者となったパディントンですが、内緒で部屋の改装をはじめ、ドアの上にも壁紙を貼りつけて部屋から出られなくなったりと、相変わらず騒動をまきおこします。ところが、しかられるどころか、感謝されるという運の良さもいつものとおりです。

『パディントンのクリスマス』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版(2002/11/20)より引用

相変わらず、たびたび事件を巻き起こしているパディントンですが、1作目よりもだいぶ世慣れてきて、家族のためにおつかいに出てお値打ち品をゲットしてきたりと、立派に「ブラウン家の一員」として暮らしています。

私は子供の頃からもう何度もこのシリーズを読んでいますが、特に憧れていたのが、友人のグルーバーさんとの「お十一時」のシーン。

舞台となっているイギリスは紅茶大国ということもあり、1日に何度も「お茶の時間」を設ける人が多いのだそう。「お十一時」は原作ではElevenses(イレヴンシス、11時という意味)という名前のとおり、朝とお昼ごはんの間にとるお茶の時間だそうです。

パディントンとグルーバーさんが、菓子パンとココアを食べながらおしゃべりをするシーンはシリーズ10巻を通してたびたび出てくるのですが、とても素敵で楽しそうで、私も「お十一時」に参加したい!なんて思っていました。

大人になってからは、こうしてお菓子を食べながらお茶を飲む習慣って、心にゆとりを持つためにとても大切なことだなと、あらためて実感しました。

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『パディントンの一周年記念』あらすじ

『パディントンの一周年記念』あらすじ

またまたパディントンが巻き起こす大騒動。骨董屋のグルーバーさんに連れられてせりに行ったら、手を振ってあいさつしているつもりが、大工道具をせりおとしてしまったり、その大工道具でお隣のうるさがたカリー氏のテーブルをまっぷたつに切ってしまったり。でも相変わらず憎めないくまなのです。

『パディントンの一周年記念』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版(2003/4/15)より引用

相変わらず大騒動を巻き起こすパディントンですが、それなのになぜか人を喜ばせるためにいつも一生懸命なパディントンの様子をみていると、憎めないどころか虜になってしまうんですよね。

完全にもう「詰んでいる」状態なのに、本人はうまくいくと思っているところもおかしくて。

今回は1周年ということで、超一流の有名レストランでブラウン一家と、仲良しのグルーバーさんにお祝いしてもらうエピソードがとても素敵です。

どんなにいいレストランに行っても「自分の流儀」を崩さないパディントンに注目です。

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『パディントン フランスへ』あらすじ

『パディントン フランスへ』あらすじ

ブラウンさん一家が夏休みに外国旅行をする計画を立てたときから、例のごとく大騒動が持ち上がります。まずは銀行へ行ったパディントンが、警察や消防まで巻き込んで逮捕されかかり、空港ではパスポートでひっかかり…。果たして一家は無事にフランスへたどりつけるのでしょうか。

『パディントン フランスへ』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版 (2003/6/20)より引用

夏のバカンスをフランスで過ごすことにしたブラウン一家。今作では1冊まるまる、バカンス中に起こる事件を収録しています。

暮らし慣れたイギリスを出て初めてフランスに渡るわけですが、フランスパン、コーヒー、エスカルゴ、ツール・ド・フランス……などなどフランスを代表する食文化やイベントが出てきますので、私たち読者もバカンス気分を味わえます。

フランスでの文化の違いや言葉の壁を物ともせず「郷に入っては郷に従え」の精神で、あっという間に街の人気者になる、パディントンのコミュ力にも注目です。

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『パディントンとテレビ』あらすじ

『パディントンとテレビ』あらすじ

思いこみが激しくて融通のきかない、しかし愛すべきくまが、またまた大騒動を巻き起こします。今回はテレビのクイズ番組に出演し、アナウンサーと珍問答を交わしたあげく、例によって強運を発揮してみごとに賞金を獲得します。パディントンが繰り広げる抱腹絶倒の冒険の数々をお楽しみください。

『パディントンとテレビ』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版 (2004/3/20)より引用

人間社会にすっかり慣れた(?)つもりのパディントン。今回はテレビに出演したり、救急車で運ばれたりと、慣れて知恵がついてきたが故に「事件」の規模もどんどん大きくなっていきます。

しかし、最後には必ずみんなを笑顔にし、ハッピーエンドにできるのがパディントンの「持ち味」です。

どれだけ大騒動を巻き起こしても、変わらない愛嬌と誠実さにみんなほっこりしてしまうのです。

もはや毎年恒例となっている「クリスマスに百貨店で起こす事件」も必読です。

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『パディントンの煙突掃除』あらすじ

『パディントンの煙突掃除』あらすじ

煙突掃除にバス旅行にクリケットの対抗試合にと、あいかわらずの大活躍をくり広げる気のいいくま、パディントン。おばさんの百歳のお祝いを機に、ペルーに行くことになりました。お別れパーティで、やっぱり起きた大騒動……。それにしても彼は、これっきり故郷にもどってしまうのでしょうか?

『パディントンの煙突掃除』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版 (2004/8/20)より引用

ブラウン家での生活も3年が経ち、すっかり家族の一員となったパディントンですが、育ててくれたおばさんを訪ねることになり、1人でペルーに帰ることになります。

これまでも、ハガキを通してペルーのおばさんとの交流は描かれてきましたが、ブラウン家と暮らすようになってからは1度もペルーに帰ったことがなかったので、初めてブラウン一家から離れることになります。

いつもブラウン家の一員になったつもりで読んでいた私は、このパディントンの突然の旅立ちにショックと寂しさ、だけど送り出したい気持ちとがないまぜになり、子供心に「葛藤」したものです。

離ればなれになることで、初めて気がつく家族の大切さに胸がキュッとなること間違いなしです。

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『パディントンの妙技公開』あらすじ

『パディントンの妙技公開』あらすじ

ペルーの老グマホームにいるルーシーおばさんを訪ねた帰りの船の中で、怪しい人影がひとつ、ふたつ。さて幽霊の正体は……?ますます目がはなせないおかしな事件がつづいて、おしまいにパディントンは、ジュディの学校でみごとなバレエを披露しますから、お楽しみに。でも、これもほんとうは……。

『パディントン妙技公開』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版 (2004/10/15)より引用

ペルーから帰国したパディントン。相変わらず船の中でも騒動を巻き起こしますが、ブラウン家に戻ってくると街の人々からは歓迎をもって迎えられます。

今回は、ただ「やらかす」のではなく、苦手なことや初めてのことにも真剣に取り組む姿勢に成長を感じました。

特に表題作にもなっている「パディントン妙技公開」は、ほのぼのと心があたたまるエピソードに胸を打たれることでしょう。

失敗を逆手にとるのもうまくなってきて(?)ますますパワーアップしたパディントンに注目です。

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『パディントン街へ行く』あらすじ

『パディントン街へ行く』あらすじ

パディントンは今回も大忙しです。結婚式の案内係にゴルフのキャディー、ドクターになったと思ったら給仕人⁈ ブラウンさん一家と出かけた夜の街では大道芸人の仲間と間違われ、ひと騒動。勘ちがいやら思わぬ誤解がまたもやピンチを招きます。

『パディントン街へ行く』マイケル・ボンド著 福音館文庫出版 (2006/7/15)より引用

今回も盛大な勘違いとともに騒ぎを巻き起こします。

ケチでいじわるな隣人、カリーさんとの付き合い方が絶妙でパディントン自身、意図せずやり返す姿には笑いが止まりませんでした。

人間関係に悩む人が多い日本ですが、これくらいライトないたずら感覚でやり返せたらすっとするだろうな、なんて思ってしまいます(笑)

表題作の「パディントン街へ行く」は、ブラウン一家がクリスマスのイルミネーションを見に出かけるお話です。

クリスマスシーズンのロンドンの街並みが目に浮かぶようで、なんてオシャレなんだろう……と子供心に海外のクリスマスに憧れたものです。

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『パディントンのラストダンス』あらすじ

『パディントンのラストダンス』あらすじ

そそっかしくて好奇心旺盛なクマ、パディントン。ミシンでズボンを直せば見るも無残な結果に。馬術競技で馬に乗れば後ろ向き。フェスティバル会場では、いつのまにか筋肉隆々男と対決することに……。はりきって出かけた舞踏会でも失敗ばかりですが、最後は拍手喝采の社交ダンスを踊ります。

Amazonより引用

今回も「よかれと思って」やらかします。

「繕いもの上手」のエピソードでは、1年目にブラウン夫人に買ってもらった、あのダッフルコートが登場します。お直しするほど着たんだな……と、時の流れを感じて感慨深い気持ちになりました。

他の作品でも、前の巻に出てきた人物がまた出てきたりと、パディントンの交友関係や歴史が感じられて、久しぶりの友人に会ったような、連作短編集を読んでいるような楽しさがありました。

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『パディントンの大切な家族』あらすじ

『パディントンの大切な家族』あらすじ

初めて学校に行ったパディントン、先生の出した問題にはりきって手を挙げたのはいいけれど、飛び出す答えはパディントン流。はたまた、ひょんなことから法廷の証言台に?! 水上スキーで宙を舞ったかと思えば、ラグビーの珍プレーでチームを救うなど、スポーツでも大活躍します。そして、いよいよペルーに住むルーシーおばさんの登場で、物語はクライマックスへ……。

Amazonより引用

福音館出版のパディントンシリーズは一旦この10巻でクライマックスを迎えます。

ルーシーおばさんがはるばるペルーから訪れ、ブラウン家と初めての対面(私たち読者も)をはたします。パディントンの「みんなのために何かしたい」という感覚は、このおばさんから受け継いだものなんだな……とジーンとくる場面もあります。

ブラウン一家とパディントンのドタバタな日々は、この先もずっと続いていくのだろうな……と、あたたかい気持ちになれるエンディングです。

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『くまのパディントン』シリーズ 感想・レビュー

『くまのパディントン』シリーズ10作感想・レビュー

シリーズを通して感じられるのは、どんなに失敗しても、いつも一生懸命ベストを尽くしていればわかってくれる人もいる。ということ。

この作品が原作で発行されたのは1950年代。作者のマイケル・ボンドさんは、戦時中にパディントンを描きはじめたそうです。そんな時代に、失敗してもみんなが笑ってくれる作品を描くのってなんだか素敵ですよね。

人生にはゆとりやユーモアが必要だと、パディントンを通して私たちに教えてくれているような気がします。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. ロンドン、イギリスの文化にふれる

私はイギリスに行ったことはないのですが、日本にいながら別の国の文化に触れられるというのは読書の最大のメリットですよね。

菓子パンを食べながらココアを飲むお茶の時間、パディントンの大好きなママレードジャム、ベッドで食べるベーコンエッグの朝食、皮肉の効いたジョーク……どれもこれも、日本人の私にはものめずらしく「海外」に対して強烈な憧れを抱くきっかけとなりました。

ブラウンさん一家の言動から垣間見えるイギリス人の国民性、価値観も当時の私には新鮮で、お手伝いさんがいたり、家族会議で子どもの意見が尊重されたりする展開にはいつも驚きと刺激を感じていました。

イギリスも日本と同じ島国ですが、歴史の築き方、考え方の違いに触れることができ、大人になった今でも、楽しみながら他国の文化が学べます。

POINT2. いつもベストを尽くすパディントンに注目

まだ子どもで世間のことをよく知らないパディントンは、思いこみや勘違いでたくさんの失敗をします。

それでもめげずにベストを尽くそうとする姿勢には、大人になった今だからこそハッとさせられるものがあって。

そして時には相手を気遣い、時には納得いくまで話し合うパディントンの日頃の誠実な態度があってこそ、失敗しても許されてしまうんだろうなと納得してしまうのです。

大切なのはうまくやることではなく、下手でもベストを尽くすことなんだと、パディントンは教えてくれます。

POINT3. 時代背景の変化に注目

この物語が描かれたのは1950年代ですので、ブラウン家にテレビがやってきたり、伝達手段が電報や手紙だったり、人々の生活も今とはだいぶ違います。

一方で、パディントンシリーズが初めて翻訳され日本で発売されたのも1960年代ですから、今では当たり前になった、コインランドリーやゴルフ、クリケットなんていう横文字も当時はメジャーではなかったようで、コインランドリーには「ランドレット=セルフサービスの簡易クリーニング屋」という注釈がつき、ゴルフとクリケットも欄外に細かなルールの説明が載っていました。

他にも、おそらくクリスマスのイルミネーションのことを「飾りつけ」と表記していて、当時日本になかったものをなんて訳そうか、どうしたら物語の雰囲気を損なわずに伝わるか、相当悩んだんだろうな……なんて気づきもあり、大人になったからこその気づきもありました。

『くまのパディントン』シリーズを読んだまとめ

いつも全力、なのに失敗ばかり。それでも人を笑顔にしてしまう人気者。

子どもの頃も夢中になって何度も読みましたが、大人になった今だからこそハッとさせられるような「常識よりも大切なこと」が、たくさん詰まっていました。

読む年齢と精神状態によって捉え方が変わるのも、読書のいいところですよね。

たまには頭を空っぽにして児童文学の世界に浸ることで、凝り固まっていた考えが解れてリフレッシュできるかもしれません。

ぜひ、手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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