今回は、児童文学『十五少年漂流記』をご紹介します。
『十五少年漂流記』とは?
フランスの小説家・ジュール・ヴェルヌが1888年に発表した児童向け冒険小説。
日本では1896年に初めて翻訳され、その後,新潮社や福音館書店が出版したことで広く知られることとなった。
これまで何度もアニメ化されており、日本児童向け文学の中でも特に知名度の高い作品となっている。
『十五少年漂流記』あらすじ

1860年3月9日、あらしの海を大型ヨットが波にもまれていた。
船の名はスルギ号。乗っているのは14歳から8歳の少年15人。なぜこんなことになってしまったのか──
乗組員が陸にいるときに船はさん橋をはなれ、ニュージーランドをあとにしてしまったのだ。
そしてあらし! 少年たちの運命の旅がはじまった。
『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ著 大久保 昭男訳 ポプラ社出版 (2005/10)より引用
『十五少年漂流記』感想・レビュー

子供はもちろん、大人も充分に楽しめるストーリーでした。
むしろ、大人になってからも大切な事がたくさん記されているのでいつ読み返してもいいのです。
彼らから学ぶべきことはたくさんありますが、楽しみ方を3つのポイントに絞ってお伝えします。
協力することの大切さを学ぶ
無人島に流されてしまうのは15人の少年たちなのですが、彼らの年齢は8歳から14歳と、まだまだ子供です。
15人もいますから、性格も様々です。リーダーシップを取るもの、知恵を絞るもの、体を張るもの……。
時にはぶつかり合うこともあるのですが、彼らが素晴らしいのは自分に何ができるかを考え、最善を尽くそうとするところです。
これは大人になった今でも、いえ、今だからこそとても大切なことなのではないでしょうか。
事実、物語の最後もそのように締めくくられています。
集団で社会を形成している以上、うまくいかない時もあるとは思うのですが、少年たちのように一生懸命取り組めば、絆を深め互いの為になることができるのではないでしょうか。
基本的ですが、忘れてしまいがちなとても大切なことを教えてもらいました。
冒険心をくすぐられる
子供の頃、冒険・探検という言葉に憧れた方も多いのではないでしょうか。
私もその1人です。とはいえ、冒険は危険と隣り合わせです。ましてや彼らのように漂流なんてしてしまったら大変です。
でも大丈夫。本書を読めば、家にいながらいつでも冒険の旅に出ることができるのです。
文字通りサバイバル生活を強いられる彼らが自分たちで家を作り、狩りや釣りで手に入れたものを食べる。かっこいいし、憧れますよね。
とはいえ、冒険は(以下略)自宅でゆっくりと童心に返って、彼らと共に冒険の旅に出てみてはいかがでしょうか。
洞察力を養う
驚かされたのは、彼らの洞察力です。
少年が飼っていた犬も一緒に漂流するのですが、島を探索中に犬が水を飲んだのを見て、全て海だと思っていたのが一部は湖になっていると当たりをつけるシーンがあります。
犬の行動から、飲めるという事はこれは海水ではない。ということは海ではない。と導き出せる少年たちの洞察力。
彼らはこういった能力を活かして生き抜いていくのです。
もちろん、私たちは漂流するような事はないはずですが、この能力は日常生活の中でも役に立つものです。
生き抜く力、暮らしを豊かにするヒントをもらえます。
『十五少年漂流記』の著書について
『十五少年漂流記』の著者であるジュール・ヴェルヌは、フランスの小説家。
SFの父とも呼ばれ、本国では大人向けのSF小説を多数執筆している。
日本語に翻訳されているものでは『海底二万里』『八十日間世界一周』などがある。
『十五少年漂流記』感想・まとめ
今回は、冒険心をくすぐられる児童向け小説をご紹介しました。
ですが、児童向けと侮るなかれ。
大人になった今だからこそ大切にしたいこと、人生を生き抜く術が記されています。
次の休日は暖かい部屋で、ベッドでリラックスしながら、彼らと冒険の旅に出てみてはいかがでしょうか。