『旅をする木』感想・レビュー・あらすじ。日常に疲れた時に読みたい

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当記事は『旅をする木』の書評です。

写真家の星野道夫さんをご存知でしょうか。

彼はアラスカの自然に魅せられ、実際に移住し、自然と共に生きた写真家です。

今回は、そんな星野さんが残した珠玉のエッセイをご紹介します。

『旅をする木』とは?

『旅をする木』は、1999年に文春文庫より出版された、写真家である星野道夫さんのエッセイ。

アラスカで出会った動物や人々とのエピソードと丁寧な描写が多くの人に愛され、累計発行部数は37万部を超えている。

『旅をする木』あらすじ

広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。

『旅をする木』星野道夫 著 文春文庫出版 (1999/3/10)より引用

人工物のない広大な原野、閉ざされた氷河の世界、体長3メートルもあるヘラジカ……日常生活からは想像もつかない大自然が、同じ地球上に広がっているのです。

アラスカの自然に魅せられた写真家の星野さんが、アラスカでの暮らし、出会った風景を写真と文章で綴ったエッセイ。

疲れた心の最高のデトックスになる1冊です。

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『旅をする木』感想・レビュー

とんでもない場所まで来てしまった。自分が暮らしている街と同じ地球上に、こんな大自然が広がっていたなんて。

私は通勤電車の中で本書を読んだのですが、本を開くと広がる大自然に圧倒され、とんでもなく遠い世界まで連れて行かれたような気になったものです。

自分が今生きている場所だけがすべてではない。この星にはさまざまな環境があって、たくさんの動物が生きている。

そんな当たり前のことを、著者の星野さんに身をもって教えてもらいました。

実際にアラスカに行くのはハードルが高くても、本書をめくればいつでもどこでも大自然にトリップ出来る贅沢な1冊です。

ポイントを3つに絞ってお伝えします。

POINT1.やさしい文体に癒される

星野さんの書く文章は、まるで友人への手紙のように親しみのこもった口語体で語りかけてきます。

その穏やかな言葉遣いから語れる内容は、神秘的な入り江でのザトウクジラとのエピソードだったり、またある時はカリブーと遭遇したりと、圧倒されるものばかり。

なかなか行けるような場所ではありませんが、雄大な大自然に思いを馳せてじっくり読み進めていくと、心が浄化されていくのを感じます。

私が本書を読んでいた時はちょうど仕事が忙しく、心に余裕が持てずにいる時期だったのですが、ページを捲ると現れる大自然に救われていました。

疲れて読書をする気力なんて残っていない。そんな時にこそおすすめしたい1冊です。

POINT2.人との関わり方を学ぶ

なんの繋がりもなくアラスカへ飛び込んでいった星野さん。

それなのにたくさんの知り合いが出来、皆から愛されているのが文章から伝わってきます。

本書を読んでいると、星野さんは年齢関係なく相手に敬意を払い、1対1の人間同士として関係性を築いているのを感じます。

人間社会で生きていると、どうしても立場に縛られてしまいがちですが、人との接し方について、改めて考えさせられる作品でした。

人間関係に悩んでいる時、ヒントをくれるかもしれません。

POINT3.大自然に思いを馳せる

本書の『旅をする木』というタイトルは、アメリカのウィリアム・プルーイットという動物学者が書いた1冊の書籍から取られています。

極北の動物誌』の名で邦訳もされており、アラスカに暮らす動物たちの様子を描いているのですが、この本こそが星野さんをアラスカに導くきっかけとなったのです。

第1章のタイトルが「旅をする木」なのですが、アラスカの自然の成り立ち、動物たちの生命のサイクルがドラマチックに綴られた1冊です。

星野さんの作品を読んでからこちらを読むと、彼の魅せられた世界がより楽しめる内容となっています。

『旅をする木』の著者について

『旅をする木』の著者である星野道夫さんは1952年千葉県出身の写真家、探検家。

アラスカに移住し、撮影・執筆活動を行なっていたが1996年、カムチャッカ半島での取材中、ヒグマの事故により急逝。

写真家としては、1989年に『Alaska 極北・生命の地図』で第15回木村伊兵衛写真賞を受賞。

他の著書に『イニュニック〔生命〕アラスカの原野を旅する』『ノーザンライツ』『長い旅の途上』などがある。

『旅をする木』まとめ

今回は『旅をする木』をご紹介しました。

忙しい毎日ですが、たまには大自然に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

疲れた心に沁みる、全世代におすすめしたい1冊です。

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