『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』感想・レビュー・あらすじ|心に栄養を。

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』感想・レビュー・あらすじ|心に栄養を。

当記事は友井羊著『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』の書評です。

今回は、疲れている時や心をほっと落ちつけたい時におすすめの小説をご紹介します。

本書は訪れたお客さんの謎を解決してくれる、ちょっと不思議なスープ屋さんが舞台となっています。

ジャンルでいうとミステリーになるかと思いますが、美味しそうなスープと温かいストーリーに、ほっこりすること間違いなし。

忙しくて時間がない日々を送っているあなたにこそ読んでほしい、心に栄養をくれる小説です。

あなたにとっての、良き一冊となりますように。

目次

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』あらすじ

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』あらすじ

店主の手作りスープが自慢のスープ屋「しずく」は、早朝にひっそり営業している。早朝出勤の途中に、ぐうぜん店を知ったOLの理恵は、すっかりしずくのスープの虜になる。理恵は最近、職場の対人関係がぎくしゃくし、ポーチの紛失事件も起こり、ストレスから体調を崩しがちに。店主でシェフの麻野は、そんな理恵の悩みを見抜き、ことの真相を解き明かしていく。心温まる連作ミステリー。

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』友井羊著 宝島社出版 (2014/11/21)より引用

物語の舞台は早朝営業のスープ屋さん。訪れるお客さんは、今日も皆それぞれの悩みを抱えています。そんなお客さんたちとの何気ない会話の中から「ことの真相」を見抜いてしまう店主の麻野さん。

人々の心と身体の支えになっている麻野さんですが、そんな彼にも実はつらい過去があって……。心温まる連作ミステリー。

この小説はシリーズ化されていて、本書を皮切りに2021年7月現在、6巻まで刊行されている人気作。ジャンルとしてはミステリーですが、人が死んだり、頭を使って犯人探しをするような形式ではありません

1話50ページ足らずの短編構成になっているので、寝る前に少しずつ読み進めるのもおすすめです。

麻野さんに悩みを打ち明ける「お客さん」になったつもりで、心をラクにして、ページをめくってみてください。

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』感想・レビュー

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』感想・レビュー

こんなにほっこりするミステリー小説があるんだ。と読み終わって驚きました。

ミステリーというと、事件が起きてハラハラドキドキさせられるのが醍醐味だと思っていたのですが、この小説はスープ屋の店主がお客の悩みを聞いてくれて、解決に導いてくれるというほっこり癒し系。

店主の麻野さんも鋭い洞察力はありながらも、お客さんの事情に首を突っ込むのではなく、心を楽にしてあげるために話をする。というスタンスで押しつけがましくないのも魅力的でした。

私はミステリー小説を読むとドキドキの展開に目が冴えてしまうので、寝る前にはあまり読まないようにしているのですが、この小説なら全然読めるなと思いました。

気持ちがゆったりと落ち着くストーリー展開なので、むしろ寝る前に読むのがおすすめです。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 美味しいスープに身も心も満たされる

シェフの麻野さんが作る、栄養満点の美味しいスープ。このお店、本当は洋食レストランのディナー営業がメインなのですが「疲れた人のために朝食の店を開く」という店主の夢もあり、人知れずひっそりと早朝営業もしているのです。

スープは日替わりなのですが、ジャガ芋とクレソンのスープ、夏野菜と鶏肉のミネストローネ……洋食レストランというだけあって、どれも本格的でとっても美味しそう。

日頃忙しく過ごしているお客さんたちが、スープを堪能するほんのひと時だけゆったりとくつろぐシーンは、こちらの気持ちまでほぐれていくようでした。

次の休みは、のんびり過ごそう。慌ただしい日々の中でなおざりにしてしまっていた食事の時間を、ちゃんと持とう。そんな風にひと息つかせてくれる作品です。

POINT2. 店主・麻野さんの人柄に注目!

この作品に漂うほっこりとした穏やかな空気感は、店主・麻野さんの人柄によるところが大きいのではないでしょうか。

訪れたお客さんから無理に話を聞き出すのではなく、顔色がすぐれない「何かありそうな」様子の人にそれとなく水をむけて、話に耳を傾ける。このスタンスにとても好感が持てました。

実はこの店主・麻野さんには強力な「助っ人」がいて、それが娘の露(つゆ)ちゃん。まだ小学生なのに、彼女もお父さんに負けず劣らず、人の気持ちを読むのがとっても得意。

この親子がなぜこんなにも人の気持ちに敏感になったのか、そのあたりもエピソードに含まれていて、人柄が感じられるのもポイント。

時にはお父さん以上に人々の気持ちを察知する、小さな名脇役にも注目です。

POINT3. 読みやすい、一話読みきり型

連作短編集の強みといえば、1話ごとに話が完結するので時間がなくても手にとりやすいことではないでしょうか。

この作品は話は完結させつつも、回を追うごとに少しずつ店主・麻野さんの人柄や過去が明らかになっていき、思わず続きが気になってしまう……という連作と短編集の良いところをうまく活かしているなと感じました。

たまにはゆっくり本でも読みたいけど、時間がなくて最後まで読みきる自信がない……そんな時でも電車の中や、寝る前の短い時間で読めてしまいます。1つの巻につき4〜5話のエピソードが収録されているので、1冊でさまざまなストーリーが堪能できるのもうれしいポイントですね。

『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』感想・まとめ

何も考えずにゆっくりとスープを味わう。そんな時間が持てたら最高ですね。でも、そんな時間が持てなくても「スープ屋しずく」は、いつでもあなたを待っています。

忙しくて時間がない日々を送っているあなたにこそ読んでほしい、そんな小説です。

スープを作る時間はなくても、寝る前のほんの10分で心に栄養を
ぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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