今回は、森博嗣さんのスカイ・クロラシリーズ6冊の読む順番とあらすじをまとめます。
タイトルだけでは、読む順番がわからないという読者の方も多いと思います。
そんな方の参考になれたら幸いです。
スカイ・クロラシリーズとは?
スカイ・クロラシリーズは、戦闘機のパイロットを主人公としたファンタジー小説。
大人にならない、永遠の子供「キルドレ」。彼らの日常を描いたストーリー。
森さんが執筆されている他のシリーズとは関連性がなく、ストーリーは6冊で完結している。
スカイ・クロラシリーズの楽しみ方
不思議な世界観に没入する
子どもが戦闘機に乗って戦うという珍しいストーリーなのですが、時代背景や地域を特定できるような描写があまり出てきません。
戦況にもあまり触れることなく、終始主人公の一人称でストーリーが進むので、戦争を題材にしているとは思えないほど「静かな」展開に驚くことでしょう。
なにより、この主人公が単純に「飛ぶ」ことを楽しんでいるので、出動した時の穏やかな心理描写にもギャップを感じると思います。
戦争=悲惨、悲しいといったイメージとはかけ離れためずらしいストーリーですので、少し変わった小説が読みたい、目先を変えたい方におすすめです。
死生観について考える
戦争を題材にしているので、昨日まで一緒に戦っていた仲間が今日は帰ってこなかった。そんなことが当然のように描かれています。
それなのに全然悲壮感がなくて、主人公たちはまだ子どもなのに、漠然と死を受け入れている。
そんな世界観の中で、死とは何か、人間の価値とは何なのかを考えさせられます。
死をテーマにした作品ではありますが、残酷なシーンはあまりないのでご安心を。
じっくりと己と向き合い、死生観について考えさせられる作品です。
ファンタジー要素
主人公をはじめとする戦闘機のパイロットたちは皆、大人にならない「キルドレ」。
この「キルドレ」が何であるのか、彼らの生態系も含めてあまり明かされないままストーリーが進みます。
このファンタジー要素が「戦争」という重さを中和してくれるので、過激なストーリーが苦手な方、静かな気持ちで読書を楽しみたい方におすすめです。
スカイ・クロラシリーズの読む順番とあらすじ
スカイ・クロラシリーズは、本編5巻、短編集1巻の計6巻で構成されるシリーズです。
このシリーズの注意点は、出版順と時系列が異なること。
1番初めに出版された『スカイ・クロラ』が、時系列でいうと最後になりますのでご注意を。
今回は、ストーリー展開がわかりやすい時系列順でまとめました。
タイトル | 発売日(文庫版) |
ナ・バ・テア | 2005/11/25 |
ダウン・ツ・ヘヴン | 2006/11/25 |
フラッタ・リンツ・ライフ | 2007/11/25 |
クレィドウ・ザ・スカイ | 2008/4/25 |
スカイ・クロラ | 2004/10/25 |
スカイ・イクリプス | 2009/2/25 |
『ナ・バ・テア』
信じる神を持たず、メカニックと操縦桿を握る自分の腕だけを信じて、戦闘機乗りを職業に、戦争を日常に生きる子供たち。地上を厭い、空でしか笑えない「僕」は、飛ぶために生まれてきたんだ——大人になってしまった「彼」と、子供のまま永遠を生きる「僕」が紡ぐ物語。
森博嗣の新境地、待望のシリーズ第二作!
『ナ・バ・テア』森博嗣著 講談社文庫出版 (2005/11/25)より引用
『ダウン・ツ・ヘヴン』
子供はみんな、空を飛ぶ夢を見るのだ。飛べるようになるまで、あるいは、飛べないと諦めるまで——戦闘機に乗ることに至上の喜びを感じる草薙だが、戦闘中に負傷し入院、空を飛べぬ鬱屈した日々を過ごすことに。組織に守られる存在となりつつある自分になじめないまま。そしてある日「少年」に出会う!
『ダウン・ツ・ヘヴン』森博嗣著 講談社文庫出版 (2006/11/25)より引用
『フラッタ・リンツ・ライフ』
ずっと二人で空を飛んでいても、決して触れることはない。彼女の手を、彼女の頬を、僕の手が触れることはない——「僕」は濁った地上を離れ、永遠を生きる子供。上司の草薙と戦闘機で空を駆け、墜ちた同僚の恋人相良を訪ね、フーコのもとに通う日々。
『フラッタ・リンツ・ライフ』森博嗣著 講談社文庫出版 (2007/11/25)より引用
「スカイ・クロラ」シリーズ急展開!
『クレィドウ・ザ・スカイ』
今だけがあって、それだけを考えていられたら良いのに。未来だって、せいぜい明日か明後日くらいしかなければ良いのに——「僕」は病院を抜け出し「彼女」の車で地上を逃げる。二度と空には、戦闘機には戻れないと予感しながら。永遠の時を生きる子供たちを描く、現代の寓話「スカイ・クロラ」シリーズ‼︎
『クレィドウ・ザ・スカイ』森博嗣著 講談社文庫出版 (2008/4/25)より引用
『スカイ・クロラ』
僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供——戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。森博嗣、渾身の一作が待望の文庫化!
『スカイ・クロラ』森博嗣著 講談社文庫出版 (2004/10/25)より引用
『スカイ・イクリプス』
空で、地上で、海で。「彼ら」は「スカイ・クロラ」の世界で生き続ける。憧れ、望み、求め、諦めながら——。さまざまな登場人物によって織りなされる八つの物語は、この世界に満ちた謎を解く鍵となる。永遠の子供、クサナギスイトを巡る大人気シリーズ、最初で最後の短編集。
『スカイ・イクリプス』森博嗣著 講談社文庫出版 (2009/2/25)より引用
本書は本編のサイドストーリーを収録した短編集となっているので、『ナ・バ・テア』から『スカイ・クロラ』を読破してから読むことをおすすめします。
スカイ・クロラシリーズの読む順番とあらすじ・まとめ
今回は、森博嗣さんのスカイ・クロラシリーズ6冊の読む順番とあらすじをご紹介しました。
作品数が多すぎて、どこから手をつけたらいいかわからない……という時の参考になれば幸いです。
ぜひ、一味違ったミステリーをお楽しみください。