『赤と青のガウン』感想・レビュー・あらすじ。クスッと笑えて、ほろりと泣ける

当記事は『赤と青のガウン』の書評です。

本書は皇族である彬子女王が海外留学中のエピソードを綴られた留学記です。

皇族の方ってどんな暮らしをしているんだろう?率直に気になって読んでみたのですが、笑いあり涙ありの面白エッセイでしたので、ぜひご紹介したいと思い、記事にすることにしました。

読了後、温かい気持ちにさせてくれる1冊です。

『赤と青のガウン』とは?

皇族の彬子女王がオックスフォード大学に留学していた時のエピソードを綴った留学記。

飾らないお人柄と親しみの湧く筆致で話題となり、発行部数25万部のヒット作となった。

『赤と青のガウン』あらすじ

女性皇族として初の博士号取得

瑞々しい筆致で綴られた留学の日々

この留学期には、彬子女王という人間の人生の記録として、楽しかったことも辛かったこともすべて正直に書き綴ってきたつもりである。これが、私の留学生活を温かく見守ってくださったすべての方たちへの、私の心からの感謝の気持ちを込めた「最終報告書」である。

『赤と青のガウン』彬子女王 著 PHP文庫出版 (2024/4/15)より引用

本書は、彬子女王がオックスフォード大学に留学されていた時のエピソードを綴った留学記です。

学業に、異国での暮らしに四苦八苦する“普通の大学生の女の子”ぶりに親しみを覚えること間違いなし。

遠い存在と思っていた皇族の方が身近に感じられる、笑いあり、涙ありの留学記。

『赤と青のガウン』感想・レビュー

本書を読むまでは、皇族の方って私たちとは住む世界が違うんだろうな……と、どこか遠い存在だと思っていました。

ですが、読み終わった今は違います。

決して特別扱いされることなく、他の学生同様に言葉や文化の壁に苦労し、博士号を取るために必死に授業に喰らいついていかれるお姿から、私たちと同じなんだと強い親しみと共感を覚えました。

正真正銘ご自身の努力で博士号を取得されたシーンは、涙なしには読めませんでした。

ポイントを3つに絞ってお伝えします。

POINT1.ギャップが面白い

どんな事が書いてあるんだろう……とドキドキしながら本書を手に取ったのですが、親しみの湧く筆致から飾らないお人柄が窺えて、安心感を感じたものです。

イギリス滞在中は格安航空券をご自身で取られるなど庶民的な一面がある一方で、エリザベス女王からお茶に招かれるという“皇族らしい”驚愕エピソードも。

本書の面白さは、このギャップにあります。

気さくな語り口で皇族の方も案外“普通の人”なんだなと安心させられるかと思いきや、あ、やっぱりちゃんと皇族なんだなというこのギャップがたまらないのです。

皇族をお守りする側衛官の方たちとの関係性など、これはもう彬子女王にしか書けないであろうエピソードを思う存分堪能できました。

POINT2.読み応えのあるエピソード

彬子女王は留学時点で英語が堪能というわけではなかったそうで、コミュニケーションには苦労なさったそう。

毎週出される課題(もちろん英語)を必死にこなされ、またある時はドライバーとのやり取りが上手くいかずタクシーでとんでもない所まで行ってしまう始末。

電車が時間通り来ないのは当たり前、食文化の違い……海外で誰しもがぶち当たる壁に、彬子女王もちゃんと打ちのめされます。

たくさんのハードルを越えていく彬子女王の姿を間近で拝見している気になり、苦労の末、無事に博士号を取得されるシーンは涙を堪えられませんでした。

エッセイとしてももちろん面白いのですが、一人の女性の成長譚として大変読み応えのある作品です。

POINT3.文化に触れる

彬子女王は日本美術の研究をなさっていたとのことで、その経緯は本書に詳しく書かれているのですが、興味深かったのが海外と日本の美術に対する価値観の違いです。

例えば、西洋の絵画は一度かけてしまえばよほどのことがない限り変える事がないそう。対する日本は、季節を楽しむ目的で時期によって変えることもありますよね。

他にも浮世絵の鑑賞の仕方など、普段考えたことがなかった着目点で美術史を読み解いておられます。

大変興味深く、しかも分かりやすく解説されているので、特段美術に詳しくない私ですが日本美術に興味が湧きました。

新しい価値観を提供してくれる1冊です。

『赤と青のガウン』著者について

『赤と青のガウン』の著者である彬子女王は日本の皇族。

オックスフォード大学時代に日本美術の研究をされていたご経験を活かされ、日本文化の継承などを目的とする
心游舎を立ち上げられ、2013年からは総裁を務められている。

『赤と青のガウン』まとめ

今回は『赤と青のガウン』をご紹介しました。

気軽に読めて、読了後には温かい気持ちにさせてくれる。読み応え充分のエッセイです。

ベッドサイドに置いて、眠る前に少しずつ楽しむのもいいかもしれません。

あなたにとって良き1冊となりますように。

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