今回は、私の大好きなジャンル「ミステリー」の中でも、特に敬愛している森博嗣さんの作品をご紹介したいと思います。
森さんは大学工学部の元・助教授という経歴の持ち主で、作中でも数学的なワードやトリックを使用することが多く、彼の作品は「理系ミステリー」という名前がつくほど。
その独特なトリックと個性的な登場人物たちがクセになり、私はかれこれ森さんの作品を60冊以上読んできました。
今回は、なかでも特におすすめしたい作品や森ミステリーといえばこれ!という作品を10個ほどセレクトしましたので、少し変わった作品が読みたいという方は必見です。
森博嗣おすすめ小説10選
森さんの作品の特徴はシリーズものが多いこと。中には、別々のシリーズに見えて実はリンクしているというケースも。
今回ご紹介する作品もほとんどがシリーズものの1巻ですが、どれも1巻完結型のストーリーですのでご安心を。
S&MシリーズからWシリーズまでは、下記の順番で読むとリンクしている部分が感じられてさらに面白く読めるかと思いますが、この順番で読まないとストーリーについていけない、というわけではありません。
読み比べてみて好きな作品が見つかったら、シリーズを読破していく……という方法も良いですね。
- S&Mシリーズ『すべてがFになる』
- Vシリーズ『黒猫の三角』
- Gシリーズ『φは壊れたね』
- Xシリーズ『イナイ×イナイ』
- Wシリーズ『彼女は一人で歩くのか?』
- スカイ・クロラシリーズ『スカイ・クロラ』
- ヴォイド・シェイパシリーズ『ヴォイド・シェイパ』
- 探偵伯爵と僕
- 銀河不動産の超越
- そして二人だけになった
- 番外編・クリームシリーズ『つぶやきのクリーム』
S&Mシリーズ『すべてがFになる』
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
『すべてがFになる』森博嗣著 講談社文庫出版 (1998/12/15)より引用
森作品のすべてはここから始まったと言っても過言ではない、デビュー作。
大学の助教授である犀川創平と、そのゼミの生徒・萌絵が探偵役としてミステリーに挑んでいきます。
以降10巻まで刊行され、そのすべてに登場する2人。この2人の頭文字を取って「S&Mシリーズ」とも呼ばれています。
トリックや事件の内容ももちろん面白いのですが、この2人の関係性や掛け合いが楽しみで読んでいるファンも多いのだとか。
森博嗣さんを読むなら、まず本書から読むことをおすすめします。
Vシリーズ『黒猫の三角』
一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四才になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。
『黒猫の三角』森博嗣著 講談社文庫出版 (2002/7/15)より引用
阿漕荘に住む仲良し(?)3人組が事件を解決に導くストーリー。
本シリーズの特徴は、登場人物の一人ひとりが強烈な個性を持っていること。つまり、キャラがとっても濃いです(笑)
浮世離れした人、謎めいた人も登場するのですがなんだか中毒性が強く、きっとあなたも一人は好きなキャラが見つかるはず。
Gシリーズ『φは壊れたね』
その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「φは壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパー大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。
『φは壊れたね』森博嗣著 講談社文庫出版 (2007/11/15)より引用
タイトルにギリシャ文字が使われているシリーズ。
このシリーズの特徴は、いわゆる大人ではなく大学生・院生たちが事件の謎を解くという点にあるかと思います。
殺人事件が起きるのですが悲壮感は不思議となく、みんなで学校帰りに集まって考察し、解明にたどり着く雰囲気がなんだかほのぼのとしていて和んでしまうほど。
個性豊かなキャラクターに加え『すべてがFになる』で登場した、おなじみ西之園萌絵も大学院生として登場しますのでお楽しみに。
Xシリーズ『イナイ×イナイ』
黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。双子の妹、千春とともに都心の広大な旧家に暮らすが、兄の鎮夫は母屋の地下牢に幽閉されているのだという。椙田の助手、小川と真鍋が調査に向かうが、謎は深まるばかり——。
『イナイ×イナイ』森博嗣著 講談社文庫出版 (2010/9/15)より引用
森作品の中ではSF要素の少ないシリーズ。
探偵事務所に持ち込まれた依頼から進んでいくストーリー構成は、コナン・ドイルのシャーロックホームズを彷彿とさせます。
純粋にミステリーが楽しめる内容となっていますので、探偵ものがお好きな方におすすめです。
Wシリーズ『彼女は一人で歩くのか?』
ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。
『彼女は一人で歩くのか?』森博嗣著 講談社タイガ出版 (2015/10/20)より引用
研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。
人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
物語の舞台は、人間と区別がつかないウォーカロンたちが普通に暮らしている近未来。
Xシリーズまでと比べ、よりロボティクス・SFに寄った森ワールド炸裂のシリーズ。
SF好きは必見です。
スカイ・クロラシリーズ『スカイ・クロラ』
僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供——戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。
『スカイ・クロラ』森博嗣著 中公文庫出版 (2004/10/25)より引用
戦争を仕事として生きるパイロットのお話。
悲壮感は不思議となく、淡々と空を飛び任務をこなす様子は爽快感すら覚えます。
現実逃避したい時にぴったりの、不思議な浮遊感が味わえる作品。
ヴォイド・シェイパシリーズ『ヴォイド・シェイパ』
ある静かな朝、彼は山を下りた。師から譲り受けた、一振りの刀を背に——。若き侍は思索する。強さとは、生とは、無とは。あてどない旅路の先には何があるのか。
『ヴォイド・シェイパ』森博嗣著 中公文庫出版 (2013/4/13)より引用
森博嗣さんの作品の中では珍しい時代小説です。
山奥で暮らしていたゼンがはじめて山から降りることになり、これまで知らなかった世の中のことを知るにつれ、強さとは、生きるとは何かを考え始めるストーリー。
時代小説とはいえ時代設定の明確な描写はなく、森さんが独自に作り上げた世界観が楽しる1冊。
探偵伯爵と僕
もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。夏祭りの日、親友のハリィが行方不明になり、その数日後、また友達がさらわれた。新太にも忍び寄る犯人。残されたトランプの意味は?探偵伯爵と新太の追跡が始まる。
『探偵伯爵と僕』森博嗣著 講談社出版 (2008/11/14)より引用
主人公は小学生の「新太」。子供目線のミステリー小説という、少し変わった設定です。
友達が行方不明になるという事件が起き「伯爵」と名乗る謎のおじさんと、調査をすることに……。
最後まで読むと衝撃の展開が待っています。少し変わったミステリーが読みたい時におすすめ。
銀河不動産の超越
気力と体力不足の高橋が、やっと職を得たのは下町の「銀河不動産」。頑張らずに生きる——そんな省エネ青年を訪れる、奇妙な要望をもったお客たち。彼らに物件を紹介するうちに、彼自身が不思議な家の住人となっていた……?
「幸せを築こうとする努力」が奏でる、やさしくあたたかい森ミステリィ組曲。『銀河不動産の超越』森博嗣著 講談社文庫出版 (2011/11/15)より引用
森作品にしては珍しく事件が起きたり、ロボットが出てきたりという展開はありません。
脱力系で覇気のないサラリーマン・高橋が、ひょんなことから人の縁に恵まれ、ほんの少しずつ変化していく様子に注目です。
ミステリーというよりかは心温まるヒューマンストーリーですので、寝る前のほんのひと時にもおすすめ。
そして二人だけになった
全長4000メートルの海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊。その内部に造られた「バルブ」と呼ばれる閉鎖空間に科学者、医師、建築家など6名が集まった。プログラムの異常により、海水に囲まれて完全な密室と化した「バルブ」内で、次々と起こる殺人。残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は……。
『そして二人だけになった』森博嗣著 新潮文庫出版 (2002/12/1)より引用
反転する世界、衝撃の結末。知的企みに満ちた森ワールド、ここに顕現。
本書はミステリー、密室好きに送りたい1冊。
そうです、タイトルの通りアガサ・クリスティの名作『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品となります。
一人、また一人と殺されていくおなじみの展開はそのままに、結末は一味違った森ワールドが炸裂。
犯人は?真相は?最後まで頭を捻って、思う存分推察する時間を楽しめる純・ミステリー。
番外編・クリームシリーズ『つぶやきのクリーム』
何から手をつけたら良いのかわからない状態とは、なんでも良いから手をつけた方が良い状態のことである——。けっこう当たり前なことのなかに、人生の大きなテーマは潜んでいるものなのだ。小説家・森博嗣がつい誰かに教えたくなって意外に真面目に綴った、世界の見え方が変わるつぶよりのつぶやき一〇〇個。
『つぶやきのクリーム』森博嗣著 講談社文庫出版 (2012/9/14)より引用
10選と言いながら、最後にどうしてもこれだけ紹介させて下さい。
本書は森博嗣さんが日常の中で疑問に思っていること、感じたことを100個のテーマに沿って執筆されたエッセイです。
理系を専攻されていたというだけあって、考え方もゴリゴリの論理的思考。「たしかに!」と膝を打ちたくなるような本質的なことがたくさん書かれています。
なにか答えが欲しい時や迷った時に、目次を眺めるだけで頭の中がスッキリ整理されていくから不思議。
ちなみにこちらもシリーズ化されていて、2022年1月現在なんと10巻まで刊行されています。
森博嗣おすすめ小説まとめ
今回は、大好きな森博嗣さんの作品をご紹介しました。
ひとくちに「理系ミステリー」といえど、人情もの、探偵もの、ミステリー色の強いもの……と作品によってさまざまな世界観が楽しめます。
少し変わった作品が読みたいな、今まで読んだことのない新しい作家さんに出会いたいなと思っている方は、ぜひ手にとってみてください。
新たな世界が開けるかもしれません。