『たゆたえども沈まず』感想・レビュー・あらすじ。胸が熱くなる感動作

created by Rinker
¥878 (2025/08/18 13:26:42時点 Amazon調べ-詳細)

当記事は『たゆたえども沈まず』の書評です。

ゴッホ。『ひまわり』や『星月夜』は、芸術に明るくない方でもなんとなく知っていますよね。

彼はどのような人物だったのか。名作はどのようにして生み出されたのか?

本書はゴッホの生涯を追い、史実を基にフィクションを交えたストーリーです。

胸が熱くなること間違いなしの感動作。あなたにとって良き1冊となりますように。

『たゆたえども沈まず』とは?

彼の名作はどのようにして生み出されたのか──。

美術館のキュレーター経験がある原田マハさんが描く、ゴッホの生涯を追ったアートフィクション。

2017年10月25日に幻冬舎より刊行されたのち、2020年4月8日に文庫化され、2018年本屋大賞の候補作にも選ばれた。

『たゆたえども沈ます』あらすじ

19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホと、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇跡の出会いが“世界を変える一枚”を生んだ。

読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。

『たゆたえども沈ます』原田マハ著 幻冬舎文庫出版 (2020/4/10)より引用

舞台は19世紀後半のパリ。

貴族の間で取引される美術品の中で、アジアからの新たなアート「浮世絵」が注目を集めていた。

激動の時代に、日本美術の発展に生涯を捧げた日本人とゴッホとの絆に心温まるストーリー。

created by Rinker
¥878 (2025/08/18 13:26:42時点 Amazon調べ-詳細)

『たゆたえども沈まず』感想

読了後、じーんと胸が熱くなるストーリーでした。

史実を基にしているものの、架空の人物も登場するためフィクションの要素も強く、これは果たして事実なのかフィクションか……と考えながら読むのもとても楽しかったです。

何より、著者である原田マハさんは美術館のキュレーターをしていた経歴の持ち主ですので、日本美術がどのようにして発展を遂げたのか、ゴッホの名作はどのようにして生まれたのかをストーリーを通して知ることができました。

何とは無しに見ていた作品も、本書を読むことで見方が変わりそうです。

ポイントを3つに絞ってお伝えします。

POINT1.胸が熱くなるストーリー

タイトルにもなっている『たゆたえども沈まず』とは、ラテン語で『Fluctuat nec mergitur』と言い、フランス・パリの標語にもなっています。

困難に直面しても決して屈しない、不屈の精神を象徴しているのだとか。

そんなタイトル通り、ストーリーに出てくる男たちは自分たちの道を信じて突き進みます。

日本美術を海外に広めようと尽力する者、描きたいものを描く者、世間に屈さず自分のいいと思ったものを顧客に届けようとする者……立場は違えど、皆それぞれ目指すものがあり、戦う男たちの姿に目頭が何度も熱くなりました。

背中を押してほしい時、自分に喝を入れたい時に手に取ってみてください。熱い気持ちになること間違いなしの感動作です。

POINT2.ゴッホの人生に触れる

現代では誰もが知る有名な画家ですが、実は生前に売れた作品はほんの数点で、評価されないままこの世を去ったのだそう。

当時は「印象派」と呼ばれる新たな一派が誕生し、パリの美術界は賑わっていたのだそうですが、その一派にもうまく馴染めず居場所を見つけられなかったゴッホ。

天才なのだと思っていた著名人の孤独な生涯に親近感を覚えたと同時に、評価されずに苛立ちや不安を隠せない人間らしさも感じました。

ですので、うまくいかないことがある時、なかなか結果が出ずに焦っている時に読むのもおすすめ

決して輝かしい成功譚なんかではない泥臭い彼の人生に、共感を覚える方は少なくないはずです。

POINT3.当時のパリと日本を知る

「芸術の都」なんて呼ばれるほど、当時からアートの一大拠点となっていたパリ。

対する日本は鎖国を解いたばかりで、どんな国なのか世界にはまだ知られていませんでした。

そんな中単身でパリに乗り込み、日本美術の発展に尽力した林忠正という人物をご存じでしょうか。

彼は実在した人物で、日本美術を中心とした画商をしていました。

「ジャポニズム」というカテゴリーを築き、パリに認めさせた彼の活躍。

そんな当時の雰囲気が感じられて美術史に関する知識が深まりました。

美術に興味がある方、とっかかりがないと感じている方のアートへの入門書にもおすすめです。

『たゆたえども沈まず』の著者について

著者である原田マハさんは、日本の小説家。

以前は美術館でキュレーター(※)をされていたという異色の経歴の持ち主で、その時の知識を活かした美術館やアートを題材とした小説を中心に、多数の著書を執筆されています。

(※)キュレーターとは、博物館・美術館・図書館のような文化施設において、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門管理職

『たゆたえども沈まず』まとめ

今回は『たゆたえども沈まず』をご紹介しました。

パリの美術界で戦った男たちを描いた感動作です。

あの有名な作品が生まれたきっかけに触れ、アートに興味を持つきっかけになるかもしれません

ぜひ手に取ってみてください。

created by Rinker
¥878 (2025/08/18 13:26:42時点 Amazon調べ-詳細)
お試し無料。
気になる読書サービス