『雪と珊瑚と』感想・レビュー・あらすじ|人間関係にモヤモヤする時に

雪と珊瑚と
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当記事は梨木香歩著『雪と珊瑚と』の書評です。

今回ご紹介するのは、人間関係に疲れてしまった人へおすすめの小説です。

モヤモヤする自分側の視点も、そんな言葉を投げかけてくる相手側の視点も、両方描かれています。

誰が正解、誰が悪い、ではなく様々な考えの人がいて、それを受けいれたり立ち向かったりする必要はないんだ。ということを示してくれる、そんな物語。

状況は変わらなくても、考え方ひとつでずいぶんと楽になる時もありますよね。

そんなきっかけにしていただけたら、幸いです。

目次

『雪と珊瑚と』あらすじ

『雪と珊瑚と』あらすじ

生まれたばかりの赤ん坊・雪を抱え途方に暮れていたシングルマザー山野珊瑚、21歳。「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙の主で年配の女性くららと出会ったのをきっかけに、果敢に人生を切り拓いてゆく。どんな絶望的な状況からでも、人には潜在的に立ち上がる力がある—

様々な助けに支えられ、心にも体にもやさしい総菜カフェをオープンさせた珊瑚の奮闘を通して、生きること食べることの根源的な意味を問いかける。

『雪と珊瑚と』梨木香歩著 角川文庫出版 (2015/6/20)より引用

主人公の「珊瑚」は無職で、子どもの預け先も見つからないシングルマザー。切迫した状況から、物語はスタートします。

社会の厳しさを目の当たりにしながら、生活のため、子どものために懸命に前に進もうとする珊瑚。

自分のやりたいことを模索していく姿に応援してくれる人、悪意をぶつけてくる人……様々な人に出会います。

反発するでも合わせるでもなく、ただありのままに相手の思考を取り入れようとする珊瑚の考え方は考えさせられるものがありました。

人間関係に行き詰まったときは、ぜひ手にとってみてください。

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『雪と珊瑚と』の感想・レビュー

『雪と珊瑚と』の感想・レビュー

読み終わってみて感じたのは、この国ではシングルマザーは、まだまだ生きにくい環境なんだな、ということ。

主人公の珊瑚はもともとは人に頼らず、自分でなんとかしようとするタイプですが、子育てをしながら働くことで人に頼ることを学んでいきます。

過酷な状況からスタートした親子2人ですが、だからこそ、子どもを預かってくれる「くららさん」や助けてくれる人たちのあたたかさが身にしみて救われる瞬間がたくさんありました。

くららさんが作る料理がどれも美味しそうで体にも良さそうなので、実際に作ってみたくなるものばかりでした。

3つのポイントに整理して、本の感想をお伝えします。

POINT1. 主人公の行動力がすごい!

主人公の珊瑚は親類との縁もうすく、頼れる人が周りにいません。

自分1人でなんとかしようとするも貯金が底をつき、お金を稼ぐために働きたくても預かってくれる保育園がない。という悪循環。

ひょんなことから自分の店を持つ。という考えが浮かびますが、資金の問題などで難航します。それでも人との縁や出会いのなかで、自分からチャンスを作っていく主人公の行動力には、勇気をもらえました。

彼女の原動力は、あくまで生きていくためにやるしかなかったから。というのが第一だったとは思います。

それでも決してあきらめず、文句も言わずにひたすら行動することで自分の道を切り拓いていく姿勢は、私たちも日常生活の中で見習うべきポイントだと感じました。

POINT2. 食の描き方に注目!

主人公の珊瑚は「」を通して自立していきます。

ただ美味しいだけではなく、バイト先で出会った食物アレルギーの少年や、くららさんの素材を活かした滋味深い料理に影響をうけながら、人の体に入るものを作る責任と覚悟を持つようになります。

手軽に作れる料理から、野菜の下ごしらえのワンポイントアドバイスまで、くららさんのレシピは思わずマネしたくなるものばかり。

読み終わる頃には、料理がしたくなることまちがいなしです!

POINT3. いい人ばかりじゃない、人間関係に注目!

1人で奮闘する主人公の珊瑚の周りには、サポートしてくれる人や応援してくれる人がたくさんいますが、なかには珊瑚のことをよく思わない、ソリが合わない人も出てきます。

ですが、珊瑚は立ち向かったり対立することはしません。それぞれに人格があり、いろいろな考えの人がいるんだという当たり前のことに、あらためて気づかされました。

作者の梨木香歩さんは、登場人物を良い人、悪い人と分けずに、どの人物の価値観もありのままに描かれています。

日頃の人間関係も、評価や思い込みをせず、お互いがお互いを尊重しあえたらいいな、としみじみ思いました。

『雪と珊瑚と』を読んだ感想・まとめ

主人公の珊瑚が様々な人に出会い、人として、母として成長していく姿に、勇気をもらえました。

いい事ばかりじゃないけれど、人はこうやって強く生きていくんだな……というたくましさを感じます。

私たちも日々、さまざまな人との関わりあいで暮らしていますが、なんだかいつも周りに気を使っているな、疲れるな……そんなときに、自分自身を見つめ直すきっかけをくれる作品です。ぜひ手にとってみてください。

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この記事を書いた人

これまでに何百冊もの小説を読んできました。その中から特に心に残った一冊を、少しずつ書評としてまとめています。

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