ストレスの多い現代社会。
とりわけ人間関係には手を焼く人も多いのではないでしょうか。
今回は、小説の登場人物から生きるためのヒントを学んでいきましょう。
この記事を読んだあなたの心が、少しでも楽になりますように。
『烏に単は似合わない』について
『烏に単は似合わない』は、2012年6月に文藝春秋より出版された阿部智里によるファンタジー小説。
デビュー作にしていきなり松本清張賞を受賞し、のちにシリーズ化された話題作。
2022年7月現在も完結はしておらず、今後のストーリーにも注目が集まっている。
『烏に単は似合わない』あらすじ
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた四人の后候補。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれ魅力的な姫君たちが、思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こり……。史上最年少松本清張賞受賞作。
『烏に単は似合わない』阿部智里著 文春文庫出版 (2014/6/10)より引用
ストーリーに登場するのは、四人の美しい姫君。
后候補として大切に育てられながらも、それぞれ家の内情を背負わされ、自由がきかない「カゴの中の鳥」である彼女たち。
それでも四者四様、それぞれの方法でたくましく生きる姿から「自分を守るための知恵」を紐解いていきましょう。
『烏に単は似合わない』姫君たちが教えてくれたこと
四人の姫君たちは性格も、置かれている状況もてんでばらばら。
だけど、彼女たちの言動には一切の抜かりがなく、囲われた不自由な暮らしの中で后に選ばれようと画策します。
それは、彼女たちが生きやすくなるための処世術と言っても過言ではありません。
・いかに人を使って自分の思惑を通すか
・自分が有利になるように立ち回る方法
・嫌な思いをしなくて済むための防衛策
これは今回、私が姫君たちから学んだことですが、会社で、学校で、皆それぞれの属するグループで、無意識にやっていることばかりですよね。
人を陥れるようなやり方はおすすめできませんが、自分が生きやすくなるためのヒントを、四人の姫君それぞれに整理して見て行きましょう。
控えめで大人しい「あせび」に学ぶ、人を動かす力
主人公の「あせび」は、本当は后候補ではなかったのですが、諸事情により急遽后候補に浮上しました。
后候補は幼少期よりそのように教育されていますので、あせびは他の后候補と比べると少し世間知らずでバカにされてしまいますが、
彼女は、どうすれば自分の思惑を通せるのかを、ある意味一番理解している人でもあります。
一見控えめで大人しい彼女。ですが、周りにはいつも助けてくれる協力者がいて、実は彼女の希望する通りに事が運んでいく様は圧巻です。
自己主張が苦手な方は必見です。
初志貫徹の「浜木綿」に学ぶ、意志を貫く力
一番「姫」らしくない、自己主張が強く、物怖じしない性格の浜木綿(はまゆう)。
現代でいうところの「サバサバ系」です。
后に選ばれれば自分の家の地位も上がるとあって、それぞれの思惑があり裏で画策するなか、浜木綿だけはいつも堂々としています。
一見わがままにも見えますが、裏でコソコソせずに正々堂々とぶつかるなんて、誰にでも出来ることではありません。
一方で情に厚い一面もあり、芯の強い女性であることが窺えます。
自分の考えに自信が持てなかったり、迷ってしまった時に、浜木綿の振る舞いからヒントが得られるかもしれません。
「真赭の薄」に学ぶ、政治力
真赭の薄(ますほのすすき)は、四人の中では一番の世渡り上手と言えるでしょう。
家の権力を見せつけるために豪華な着物をあつらえ、ライバルの后候補たちに高価な贈り物をし、情報収集のための「お茶会」を開くなど、まるでやり手の政治家のように振る舞います。
しっかりと「家の力」を利用しつつ、自分の希望も叶えようとするパワフルさは清々しいほど。
彼女が現代に生きていたら、間違いなくやり手の経営者のなっていたことでしょう。
根回しや、上手い立ち回りの最高のお手本になってくれるはずです。
真面目で一本気な「白珠」の強さ
白珠(しらたま)は、クールではじめは冷たい印象を受けます。
実は一本気で決めた事をやり通そうとする強さ、心の中は熱いタイプです。
ですが真面目すぎて融通が効かない側面も持ち合わせているので、
頑張っているのにいまひとつ評価されない、いつも報われないと感じている方は、白珠から「気づき」が得られるかもしれません。
『烏に単は似合わない』姫君たちが教えてくれたこと・まとめ
人はどうしても、今いる世界、今見えている視点に捉われてしまうもの。
時には、小説の登場人物から学びや気づきを得る事もあるかもしれません。
読書をすることで、客観的な視点が備わったり、視点が切り替わって楽になれたら最高ですよね。
ぜひ、手に取ってみてください。